米中「部分合意」で日本株が大幅続伸 この勢いは本物か?
半導体メーカーが増産に備えて設備投資始める?
このようにIT関連財市況が底打ちするとの期待が芽生えるなか、日本のマクロデータに復調の兆しが散見されます。たとえば、鉱工業生産統計では「電子部品・デバイス工業」(※IT関連財と読み替えて差し支えありません)という業種で在庫の減少が確認されています。IT関連財市況が悪化していた2018年後半に電子部品・デバイス工業(に分類される企業)は前年比で40%強の在庫を抱えていましたが、その後の生産抑制などによって、直近の在庫は減少に転じ、在庫調整が進展していることをうかがわせる動きになっています。依然、出荷が伸び悩む状況は続いていますが、さらなる減産のリスクが低いという点において明るいデータです。 このように過剰在庫が解消する下、それに呼応するように機械受注統計をみると、半導体製造装置を含む「電子計算機等」の受注が上向いています。受注高は1-3月期に前年比2桁のマイナスを記録した後、直近ではっきりとプラス圏に浮上しました。こうした動きは、半導体メーカーが将来の増産に備えて設備投資を開始したことを物語っており、IT関連市況の好転を意識させます。来年に稼動が予定されている5G(次世代通信規格)対応製品の増産や、IOTのさらなる浸透によって、高性能電子部品及びそれを作るための装置の需要が増加している模様です。 最後に、「電子計算機等」の受注と日経平均株価を同じグラフに描くと、両者の連動性が確認できます。このことはIT関連財市況が日本株(日本経済)にとって如何に重要であるかを物語っています。
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