アルバイト先の飲食店でお皿を割ってしまいました。この場合、弁償として給料から引かれることはあるのでしょうか?
アルバイト先の飲食店でお皿を割ってしまった場合、その費用が給料から引かれるのか気になる人も多いのではないでしょうか。アルバイト中のミスで損害が出た場合、その費用を労働者が負担するものなのでしょうか? 本記事では、給料天引きの法的なルールや、適切な対応について解説します。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
アルバイト先でお皿を割って給料から引かれるのは合法なのか?
飲食店で働いていると、うっかりお皿を割ってしまうミスは誰にでも起こり得ます。しかし、その費用を「給料から天引きする」となると話は別です。結論からいうと、アルバイトのミスで生じた損害を給料から引くことは、原則として違法です。そのため、アルバイト中にお皿を割ってしまっても、安心してください。 労働基準法では、給料は「全額支払いの原則」が定められています。これは、使用者が勝手に給料から何かを差し引くことを禁止するルールです。特に、労働者の過失による損害賠償については、労働者の合意なしに給料から天引きすることは認められません。代わりに、労働者との話し合いや合意に基づく相殺、または調整的相殺などの方法で解決するべきとされています。
労働基準法では給料の天引きをどう定めている?
労働基準法第24条には、「賃金は全額支払わなければならない」と明記されています。これを「全額払いの原則」と呼び、給与の一部を無断で差し引く行為は基本的に認められていません。具体的には、以下のようなケースは違法とされます。 ●従業員が皿や商品を壊した際に、その弁償代を勝手に給料から引く ●無断欠勤や遅刻を理由に給料を差し引く ただし、以下のものは給料から控除することが可能です。 ●法令で定められた税金や社会保険料などの控除 ●労使協定(労働者の過半数で組織する労働組合またはその過半数代表者との書面による協定)がある場合 このほかに、賃金を払い過ぎて後に差し引くなどの調整的相殺も、労働者との合意があれば控除が認められる場合もあります。しかし、合意がなければ法律違反となります。
お皿代を給料から引かれた時の対処法とは?
もしアルバイト先でお皿を割り、その費用を給料から引かれてしまった場合、すぐに対応することが大切です。以下の手順を参考にしましょう。 ・まずは冷静に話し合う アルバイト先の責任者に「労働基準法では給料の天引きは認められていない」と伝え、給与の全額支払いを求めましょう。誤解や知識不足から天引きしているケースもあるため、話し合いで解決することが多いです。 ・労働基準監督署に相談する 話し合いで解決しない場合は、労働基準監督署に相談することを検討しましょう。労働基準監督署は労働者の権利を守る公的機関です。違法な天引きが確認された場合、雇用主に対して是正指導が行われることがあります。 ・書面や証拠を確保しておく 給料明細や、天引きの根拠を示す書類、雇用主とのやり取りの記録などを保管しておくと、後の対応がスムーズになります。