【政治解説】世論調査“トップ”の小泉氏…党員調査では“3位”ナゼ? 支持離れ…背景に「選択的夫婦別姓」 か
ポイントは2人の大物議員…麻生氏と菅氏
【菅原】 ただ、この3人のうち、1位と2位が誰になるかによって、組み合わせによっても戦略が変わってくると思います。どんなところがポイント? 【竹内】 色々ポイントは考えられます。派閥の解消が打ち出されて、旧岸田派や旧森山派などは解消して、それから初めての総裁選挙。ただ私は、大きいポイントの1つは“2人の大物議員”だと思います。麻生元首相と菅前首相です。 陣営ごとに見ていくと、上川外相は旧岸田派ですが、この陣営は、推薦人20人のうち9人が麻生派の議員でした。となると、麻生さん本人の影響力は受けていると思う。そうすると、麻生さんとの関係が良くないといわれる石破氏本人、菅さんが後見人とされている小泉氏。上川陣営の麻生派議員たちが決選投票で応援につくのは、難しいのでは…と考えてしまいますよね。 【菅原】 まさに人間関係ですよね。 【竹内】 旧岸田派の林官房長官も、陣営には旧岸田派の人が多い。そうすると、“岸田さんと菅さんは関係がよくない”なんて言われていますから、林氏の陣営についている人たちが、(決選投票で)小泉氏のところに全部行くかと言うと、ちょっと難しいとみられています。
「どちらが正しい」「どちらが良い」ではなく…
【菅原】 河野デジタル相は前回の総裁選で菅さんにも応援してもらっていたし、小泉氏とも“小石河”で連携していました。ただ、今回は麻生さんの“お墨付き”を得て出馬したことを考えると、決選投票で、小泉氏には付きにくくなってくるんでしょうか? 【竹内】 そういう見方があるんです。前回は河野氏を応援した菅さんが、今回は支持しなかったことについて、派閥を離脱しなかったなど、河野氏自身にも理由がありそうですが、中には「そもそも麻生さんの存在があるから、菅さんの河野氏支援は難しかった」という声もあるんですね。 【菅原】 これまでの人付き合いが関係してくるとは言いつつも…。東京地検特捜部の元部長だった河上和雄さんの「好き嫌いで決めろ」という本があります。永田町はまさにそんな感じですよね。 【竹内】 案外「どちらが正しい」「どちらが良いか」よりも、「あの人が好き」「あの人が嫌い」で決まっていることはありますもんね。菅さんのことで考えると、逆に菅さんと関係が良いとされるのが茂木幹事長。そして、菅内閣のメンバーだった加藤勝信さん。こういう陣営は、菅さんが後見人の小泉氏を決選投票で支持することも「あり得るのでは」というわけです。 【菅原】 「派閥はなくなった」とは言っていますが、人間関係は残るわけだから、大物議員の影響も残るわけですよね。 【竹内】 よしあしは別として、麻生さんや菅さんも選挙の応援に行ったり、陳情の相談に乗ったりとか、面倒を見るというようなことはしてきています。これは特別なことじゃなくて、社会でだって、「お世話になった先輩に頼まれ事をしたら断りにくい」みたいなことはありますよね。 ただ、その先輩、永田町で言えば“大物議員”たちの考え方に同調して賛成しているのであればいいと思うんです。けれど、本当は全然違うことを考えているのに、義理・人情じゃないけど、「不本意だけど、先輩に言われたらこうしなくちゃいけない」みたいなのがあるとすれば、どうかと思います。「上の人に言われたから、こういう風にした」ではなく、「自分の考え」で選んで欲しいです。 【菅原】 一国を背負う総理を決めるわけです。自分を選んでくれた有権者を感じながら判断してほしいですよね。 【竹内】 本当にその通りです。この総裁選挙は、派閥の影響力が弱まっているからこそ、議員自身の考えで投票して欲しいと思います。