【子どもの大学進学費用】約4割の大学生が「アルバイトをしなければ就学の継続が難しい」状況に。親はどこまで支援すべき?
大学生の収入額の半分以上が「家庭からの給付」
同調査では、大学生の収入額の半分以上が家庭からの給付であることが明らかにされています。 【図表3】では、国立、公立、私立のいずれにおいても「家庭からの給付」が収入の半分以上を占めています。 特に、国立と私立においては「家庭からの給付」は6割近くと高い結果でした。 一方、「奨学金」が収入に占める割合は2割前後、「アルバイト」が占める割合も2割前後となっています。 「奨学金」「アルバイト」を合算すると、収入の半分程度になります。 ●4割程度の大学生がアルバイトをしなければ就学の継続が難しいかもしれない 続いて同調査より、学生のアルバイト事情を見ていきましょう。 【図表4】では、アルバイト従事者のうち「家庭からの給付のみで修学可能」な学生がもっとも多い結果になっています。 家庭からの給付だけでも学べるものの、交友費、食費、趣味などに充てる費用などは自分で稼いでいる学生が多いのでしょう。 一方、「家庭からの給付のみでは修学に不自由」と「家庭からの給付のみでは修学継続困難」をあわせると、全体の3割程度になります。 また、「家庭からの給付なし」を含めると、4割前後が自分自身のアルバイト代を大学生活を送る上で不可欠としていることが分かります。 大学生のアルバイトは「社会経験」としてみなされることもありますが、現実は多くの学生にとって大学での学びを継続し、自身の生活を維持する上で不可欠なものとなっています。
【大学生の親世代の貯蓄額】50歳代の貯蓄額の中央値は300万円台だった
大学生の子どもをもつ親の年代は50歳代前後がボリューム層になります。 そこでここでは、金融広報中央委員会の資料をもとに、50歳代(二人以上世帯)の貯蓄額をみていきます。 ・金融資産非保有:24.4% ・100万円未満:9.3% ・100~200万円未満:5.8% ・200~300万円未満:4.2% ・300~400万円未満:5.1% ・400~500万円未満:3.2% ・500~700万円未満:5.0% ・700~1000万円未満:5.7% ・1000~1500万円未満:8.8% ・1500~2000万円未満:6.0% ・2000~3000万円未満:7.2% ・3000万円以上:10.8% 【図表5】によると平均貯蓄額は1253万円と高く、50歳代の多くがある程度の貯蓄があるようにみえます。貯蓄額が1000万円以上の世帯についても3割を超えています。 一方、現実により近いといわれる中央値は350万円。金融資産非保有は24.4%、100万円未満が9.3%となっており、3割以上の世帯が貯蓄額が100万円に満たない状況です。 つまり、世帯間における貯蓄額が二極化しているといえるでしょう。 50歳代には大学の学費をすでに払い終えている夫婦も含まれますので、【図表5】は子どもの進学費用を差し引いた貯蓄額という見方もできるかもしれません。 しかし、同調査における40歳代(二人以上世帯)の貯蓄額は平均が825万円、中央値が250万円となっており、50歳代よりも少なくなっています。 子どもが1人しかおらず、かつ自宅通学の国立大学であれば親が進学費用を全てカバーできる世帯はそこそこあるものの、私立大学の学費全額や子どもの下宿先での生活費までも負担するのは難しいという世帯が多いといえます。