老後資金の出口戦略とは? FPが投資信託の取り崩し法を教えます
「老後に備えてNISAを始めた」という話を聞く機会が増えました。積み上げた老後資金は、やがて取り崩す時期がきます。取り崩し方はどうすればいいのか? についてフォーカスします。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
まずは老後のライフプランから
「iDeCoやNISAを使って老後資金を準備しましょう。資産形成は時間をかけてコツコツ積み上げる積立投資をすることで、投資リスクも減らすことができるのでお勧めです」よく耳にするフレーズです。老後の生活に突入して取り崩す時の方法についても、実は議論が進んでいます。その内容に進む前に、ライフプランの確認から始めます。 老後の生活の中で、イベントを書き出します。 (1) やりたいこと 現役時代と違い時間に縛られなくなったら“やりたいこと”“ほしいモノ”などがあるはずです。これまで頑張ってきた自分へのご褒美を、箇条書きにしてリストを作ると良いと思います。リストができたら優先順位をつけ、それぞれに必要な金額を見積もります。 (2) 必要なこと 住宅ローンが完済しても、定期的なメンテナンスは必要です。家電製品なども数年サイクルで買い替え時期を迎えます。このように自分の欲求の有無にかかわらず、必要になるモノやコトをリストにします。(1)と同様に優先順位をつけ、それぞれに必要な金額を見積もります。 一方で、老後資金として準備した資産を棚卸します。その資産から(1)と(2)のリストで見積もった金額を差引きます。予算オーバーなら優先順位の低いものから、必要性などを精査します。これに加えて、公的年金などで賄えない生活費を老後資金から取り崩さなければならないので、資金計画はなるべく具体的に勘案するように注意します。
リターンを低くしても投資し続けることで資産寿命を延ばす
老後資金が不足しない(資産寿命を延ばす)ためには、長く働くことやお金に働いてもらうことが有効です。昨今のインフレ懸念もあり、老後資金を“運用しながら取り崩す”ことが、シニアの間でもスタンダードになりつつあります。 ご存じのとおりリターンとリスクには相関関係がありますので、年金生活になったら2~3%運用を目指す低リスク商品にシフトすることも一案です。資産残高に一喜一憂することも少なく、運用ゼロで取り崩すよりも資産寿命を延ばすことができます。 もちろんリスクはあります。短期的にはマイナス運用になる可能性はありますが、老後30年とすると資産形成期と同程度の期間があり、リスクは平準化されると考えられます。