純粋主義のロードスター「マツダ MX-5」はその本質を保っている!今や希少な存在となったMX-5の魅力をスコットランドで堪能する
MX-5は依然として軽量
それもそのはず。わずか1トンの車重では、4気筒エンジンでも楽勝だ。そして最後に、峠の頂上からさらにきついカーブを下って海岸に戻るとき、新しいシートカバーが以前より見栄えがよくなっただけでなく、何よりも遠心力との戦いでより大きな支えになっていることに気づく。
0-100km/h加速6.5秒や最高速度219km/hといった数字に、ドイツ南部のポルシェドライバーやその友人たちが大笑いしても、ここハイランド地方ではすぐに喉から手が出るほど笑えるだろう。というのも、その旺盛なパワーとワイドなヒップを持つ本格的なロードスターが狭いコースでついていくのが難しいのに対し、MX-5は山間部を明日をも知れぬ速さで駆け抜けるからだ。1.6リッター、132馬力のベーシックなエンジンでも、「911ターボ」よりも楽に走破できるのだ。 しかし、「MX-5」をハイランドでヒットさせているのは、フォーマットとハンドリングだけではない。もうひとつ、このクルマには特別な特徴がある。従来通り、ソフトトップは手首をひねるだけで開けられ、片腕で後方に投げ出すことができる。したがって「MX-5」は、ここ北部の大西洋の気まぐれな天候に対処するための装備としては、最も高価な高級コンバーチブルよりも優れている。
そして、何度か突発的なにわか雨から身を守ったり、その見返りに太陽の光を一秒一秒楽しんだりしたことのある人なら、愚かなオートマチックトランスミッションとは関わりたくないと思うだけではないだろう。
水平線に溶け込みそうなほど低く垂れ込める暗く迫り来る雲であれ、きらめく青空であれ、なだらかな丘であれ、険しい崖であれ、穏やかな湖であれ、荒れ狂う海であれ、ここスコットランドの北部ではいつでもどこでも、新しいパノラマを見るたびに、どんなに荒廃した廃墟であれ、風に折れ曲がり亡霊のように枯れ果てた木々の絡み合いであれ、「MX-5」と見事に調和する、目に見えない仲間が記憶の中で際立ってくる。クリストファー ランバートとショーン コネリーが「MX-5」初公開の直前、1986年にこの不毛の北の大地を世界的に有名にした『ハイランダー』。 そして、まるで魔法のように、クイーンのフレディ マーキュリーがあなたの耳元で、”永遠に生きたいのは誰?”とアンセムに問いかける。たとえば「マツダMX-5」。このクルマに乗れば、年老いた樹液でさえ若返ったように感じ、それだけで不死身になれるからだ。ハイランダー自身の言葉を借りれば、”これひとつしかない”。
Thomas Geiger