桐蔭学園 逆転勝ちで連覇王手 後藤のトライから国学院栃木の堅守崩した
◇全国高校ラグビー大会準決勝 桐蔭学園25―14国学院栃木(2025年1月5日 花園ラグビー場) 準決勝2試合が行われ、前回大会王者の桐蔭学園(神奈川)が国学院栃木との関東勢対決を25―14で制した。前半8―14とリードされたが、SH後藤快斗(3年)のトライなどで逆転し、2年連続5度目の優勝に王手をかけた。大阪勢対決は、東海大大阪仰星が常翔学園を29―26で下して3大会ぶりの決勝進出を決めた。決勝は7日に行われる。 桐蔭学園の粘り強い攻撃が、鉄壁のディフェンスを打ち破った。8―14で迎えた後半7分。「(準々決勝の大阪桐蔭戦で3トライに絡んだ)丹羽がマークされることは分かっていた」。SH後藤がラックからボールを持ち出し、相手守備の隙を突いて突破してトライ。SO丹羽のコンバージョン成功で逆転した。 国学院栃木はここまで3試合で1トライしか許していない堅守を誇る。桐蔭学園は試合開始前にあえて不利な風下でのプレーを選択。後藤は「自分たちがバチバチ体を当てるのは変わらない。少しでもゲインできればスペースもできる」と前半から粘り強く攻撃を継続させた。そして相手の動きが鈍る後半に勝負をかけるプランが見事にはまった。 後藤は福岡県出身で、中学時代は県選抜に入れなかった。地元の強豪・東福岡に進学する県選抜メンバーたちに対抗心を燃やし「全員倒したい。日本一になるには桐蔭学園」と進学を決めた。昨年はメンバー入りしたものの、決勝のピッチには立っておらず、今回が初めて自らの手で日本一をつかみ取るチャンスを得た。 チームは準々決勝で優勝候補の大阪桐蔭を破ったが、今季2度対戦して1勝1敗の難敵との対戦を前に浮かれる様子はなかった。3大会前は同じ準決勝で国学院栃木に敗れており、敗因は選手たちの慢心にあったという。その話を金子俊哉コーチから3日夜のミーティングで聞き、後藤は「絶対に気を抜けない」と改めて気を引き締めた。チーム全員の意思を統一するように、宿舎のホワイトボードには3日の夜に控えのLO中西が「勝ってかぶとの緒を締めよ」を記し、4日の夜にはFL申主将が「自分の力を出し切る」と書き込んだ。 連覇を懸けて激突する東海大大阪仰星とは、花園の決勝で過去2度とも敗れている。藤原秀之監督は「チャレンジする感じ。連覇というか、この代で優勝ということ」と、あくまで王者の意識は持たないつもりだ。慢心なく挑み続けた先に、連覇の栄光が待っている。 ◇後藤 快斗(ごとう・かいと)2006年(平18)7月19日生まれ、福岡県出身の18歳。幼少の頃から「かしいヤングラガーズ」で競技を始め、熊本県玉名市に引っ越した後も片道1時間半かけて通い続けた。玉名中を経て桐蔭学園高に進学。50メートル走6秒3。目標とする選手はOBで現トゥールーズのSH斎藤直人。1メートル64、66キロ。