ANA井上社長、ミラノ増便視野 時期未定も「デイリー必須」
全日本空輸(ANA/NH)の井上慎一社長は現地時間12月4日(日本時間5日)、前日3日に就航した羽田-ミラノ(マルペンサ)線の展望をミラノ市内のホテルで報道陣に語った。同路線は週3往復で始め、時期は未定としながらも、将来的な週7往復(1日1往復)のデイリー化を目指したいとした。 【写真】ミラノを出発するANAの羽田行き初便 ◆25年夏「利用率9割目指す」 井上社長は週3往復のミラノ線について、「ビジネス需要にはデイリー運航が必須。海外の航空会社が供給量を増やしているので、ご期待にお応えする意味でもチャレンジしたい」と述べ、将来的な増便を目指す意向を示した。ミラノ滞在中、多くのイタリア人から訪日を希望する思いを強く実感したという。「需要を的確に捉えサービスを提供し、搭乗率を上げたい」と、2025年夏の繁忙期には利用率9割を目指したいと語った。 ANAのミラノ就航は約25年8カ月ぶりで、羽田からは初就航。四半世紀ぶりとなるミラノ線の継続には「日伊双方の旅客需要の喚起と貨物の2つが重要」との認識を示し、旅客・貨物の需要の獲得に注力する姿勢を示した。初便の貨物は満載だったものの、ミラノへの貨物専用機の運航は計画していないという。 井上社長はミラノについて「観光、ビジネス、貨物の市場がたくさんある。非常に有望なポテンシャルを秘めたマーケットだと思っている」と評価した。 ◆ITA連携はイタリア周遊で利活用も ANAは、イタリア国営のITAエアウェイズ(ITY/AZ)とコードシェア(共同運航)を核とした提携契約を締結済みで、羽田-ミラノ線にもITAの「AZ」便名を付与している。一方、ITAはミラノ郊外にあるマルペンサ空港からは撤退済みで、ミラノ路線は市中心部に近いリナーテ空港に集約し、欧州を中心とした近距離路線を運航している。 ITAは現在、ルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)を中核とするルフトハンザ・グループが買収を進めている。ANAはルフトハンザ本体と共同事業(JV)を展開するなど、関係が深い。 ANAとITAの連携について、井上社長は「ミラノ市内に宿泊すると、リナーテ空港が近い。リナーテからは、ローマをはじめとしたイタリア国内への利便性が確保できている」とし、ANAがコードシェアするITAのローマ-羽田線も活用したイタリア周遊などへの利用が考えられるとした。 ◆“ダ・ヴィンチのヘリ”アピール 井上社長はイタリアの現地報道17社にも、ミラノ線の展望などを説明。現地メディアからは料金面などを質問する場面もみられた。井上社長はこのほか、2月に来日した場合に北海道では冬、石垣島では夏を体験できるなどの、日本への旅行もアピールした 同日夜には、イタリアの現地関係者らを招待したガラパーティーも開催し、約210人が参加した。井上社長は、1952年から1982年まで使用していたANAの旧ロゴを紹介。イタリアのルネサンス期を代表する芸術家、レオナルド・ダ・ヴィンチが残したヘリコプターの原型といわれるスケッチを図案化したものとした上で、「ANAのイタリアの大切なご縁だ」と述べた。 パーティーには、マルペンサ空港を運営するSEA空港公団のルイジ・バットゥエッロCCO(最高商務責任者)らも参加。井上社長とバットゥエッロCCOはプレゼントを交換し合うなど、交流を深めた。またパーティーのオープニングで、日本から招いた太鼓チームがパフォーマンスで“日本らしさ”を演出すると、出席者からは拍手と歓声が飛んだ。
Yusuke KOHASE