【大学野球】大胆なシフトで明大・宗山塁を抑え込んだ早大 天皇杯奪取の陰にデータ班の存在
次は明治神宮大会に向けて
優勝決定戦でも、早大の戦術は変わらなかった。シフトの中で、宗山は自分のスイングをさせてくれず、ヒットゾーンに飛ばなかった。3打数無安打。早大の先発・伊藤樹(3年・仙台育英高)は散発3安打の無四球完封であり、明大打線は手も足も出なかった。宗山も少なからず、シフトによる心理的影響があったかもしれない。2024年の明大の象徴であった主将・宗山を封じたことが、早大の春秋連覇につながったと言っても過言ではない。 「シフトの最終的な決断は、監督と捕手の印出(印出太一、4年・中京大中京高)と聞いています。あくまでも、決断して、プレーするのは現場。後押しもしますが、その上で、迷いを軽減させるのが、私たちの役割です」 北村をチーフに3年生・高屋敷透弥(八戸高)、2年生・大渡はな(中大横浜高)の協力があって実証できた分析結果だった。優勝決定戦後、選手には3日の休養が与えられたが、データ班にオフはない。11月20日に開幕する明治神宮大会に向けた準備にすぐさま着手。対戦する可能性がある出場10校の資料を人海戦術で収集し、限られた時間内で分析した。少ない情報から相手チームのデータを導き出すのは、腕の見せどころと言える。野球部のベンチ入りメンバーが中心に生活する安部寮内の一室は、深夜まで明るかった。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール