腎臓機能評価を専門医が解説 eGFRを調べる尿検査・血液検査で腎臓病を早期発見する重要性
腎不全・腎臓病など腎臓機能が低下することで起きる可能性のある病気・疾患とは?
編集部: これらの数値が異常だと、どのような病気の可能性がありますか? 井上先生: 尿異常がある場合には、慢性糸球体腎炎という病気が隠れていることが多く、長く続くと慢性腎不全となり、最終的に透析療法が必要となることもあります。また、健康診断の尿検査で再検査を求められ、その後糖尿病と診断されている患者さんも多くいらっしゃいます。さらに、「腎硬化症」という病気もあります。腎硬化症は、高血圧が原因で腎臓の血管が動脈硬化を起こし、腎臓の機能障害をもたらす疾患です。 編集部: 様々な病気があるのですね。 井上先生: そうですね。さらに最近、「慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)」という新しい病気の概念も注目されています。慢性腎臓病は一般的にタンパク尿、血尿や、クレアチニン上昇といった腎機能低下が慢性的に続く状態で、心疾患のリスクファクターでもあるため注意が必要です。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 井上先生: 腎不全や腎機能障害は、早期発見がとても大切です。健康診断で早期に発見し、治療や食事に気をつけていけば、進行を食い止めることが期待できます。今は様々な治療薬が開発されており、病気のステージに合わせた治療薬が選択されます。さらに、一人ひとりのライフスタイルに合わせた食事療法や運動療法などと組み合わせてアプローチしていくことが可能です。健康診断で気になる数値がある人は、ぜひ一度、腎臓専門のクリニックに相談することをおすすめします。
編集部まとめ
腎機能評価、腎機能障害を早期発見する重要性などについて、解説していただきました。血液検査の項目などは、よくわからないまま健康診断を受けている人も多いと思います。この記事で紹介した項目に気になる数値のある人は、お近くの腎臓専門クリニックに相談してみてはいかがでしょうか。
【この記事の監修医師】
井上 禎子 先生(まごめ内科・腎クリニック) 東京女子医科大学医学部卒業。東京女子医科大学病院腎臓病総合医療センター入局、茅ヶ崎徳洲会病院、東京労災病院などで経験を積む。2016年、東京都大田区に「まごめ内科・腎クリニック」を開院。日本内科学会認定医・専門医、日本腎臓学会専門医、日本透析医学会専門医・指導医、日本糖尿病学会会員。日本医師会認定産業医。