冬になると血糖値が高くなる理由とは?冬の血糖変動を最小限にするコツも
当記事は、内科認定医・糖尿病専門医 古賀 萌奈美先生にご監修いただきました。執筆はライター 松原知香(管理栄養士)が担当しました。 【画像】冬になると血糖値が高くなる理由とは?冬の血糖変動を最小限にするコツも 「冬なってから血糖値が上がった気がするけど、季節によって血糖値は変化するの?」と疑問に思ったあなた。 そこで今回は、冬になぜ血糖値が上がりやすいのかについて、わかりやすく解説していきます。 ぜひ最後までお付き合いください。
冬になると血糖値が高くなるのはなぜか
冬になると血糖値が高くなる理由として考えられるのは以下の2つです。 ①高カロリーな食事をとる機会が増える ②運動する機会が減る ではそれぞれについて解説しましょう。 ●①高カロリーな食事をとる機会が増える 1つめは、クリスマス・お正月・忘年会・新年会などのイベントが多く、外食や飲酒の機会が増え、食べる量が増えることです。 なぜなら摂取エネルギーが消費エネルギーを大幅に上回ってしまうと、余剰となったエネルギーで脂肪細胞が肥大し内臓脂肪として体に蓄えられ、ひいては肥満へとつながります。 内臓脂肪は、血糖値を下げるインスリンと拮抗するホルモンの分泌に関わっています。そのため、内臓脂肪の増加は、血糖値の上昇に影響を与えるのです。 またお正月に食べる機会が増える餅は、同じグルコース量であっても米飯と比較して血糖値が上昇しやすいため、餅摂取量が増えるだけでも血糖コントロール悪化の要因となります。 ●②運動する機会が減る 2つめは、寒い時期になり運動する機会が減ることです。そうすると、消費エネルギーが減って同じく肥満へとつながりやすくなります。 つまり、冬は生活習慣が乱れやすい要因が増えるので、血糖値も高くなるといえます。 その他の要因としては、気温低下に伴うイン スリン拮抗ホルモンの増加や冬季にインスリン抵抗性が増大するとの報告もあります。
HbA1cの値には季節変動がある
冬に血糖値が上がりやすいことは、さまざまな研究によって示されてきました。とくに2型糖尿病の方において、HbA1c(※)の値と季節には関係があることが確認されています。 (※)HbA1cは過去1~2か月の血糖を評価する指標 ●12月~2月頃が要注意! 研究によって多少違いはあるものの、おおよそ6月~8月頃にHbA1cが最も低くなり、12月~2月頃にHbA1cが最も高くなると発表されています。 さらに、2型糖尿病の方の研究ではHbA1cに加えて血圧やコレステロールの値も上がることがわかっているのです。 2型糖尿病の方にとって、冬は合併症のリスクも上がる季節だといえるでしょう。 ●夏は血糖値が上がる? 下がる? 冬になると血糖値が高くなる人が多いということは、反対に夏になると血糖値が下がる人が多くなると報告されています。 しかし、夏の方が血糖値が高いという人も、中にはいるかもしれません。 特に夏は水分摂取量が増えるため、スポーツ飲料など糖分量が多い飲料の取りすぎには注意が必要です。熱中症対策であっても、過剰な糖質が入っていないものを選び、摂取量にも注意をしましょう。 また食欲が落ちるため、そうめんなどで食事を済ませてしまうなど麺類摂取が増えることでも血糖コントロールの悪化を招きます。 このように、暑い夏ならではの食生活の変化により血糖値が上がる可能性もあるのです。 一般的には冬になると血糖値が高くなる人が多く、夏に血糖値が低くなる人が多いと言われていますが、最近は猛暑で夏も運動量が低下しやすくなっており、油断は禁物です。