「電気椅子で死にたい。そうすれば遺族は安らげる」そう語る死刑囚の真意 死刑は残すべきか廃止すべきか、アメリカから考える②執行直前の14人と話した元矯正局幹部
▽死刑執行を公開する「価値」 「死刑制度は市民が決めたこと」と語るオズミントさんは、執行の様子を公開することも大切だと考えている。 アメリカでは、死刑の執行にメディアも立ち会う。州によって多少の違いはあるが、被害者遺族や死刑囚の家族などが同席できるほか、抽選などで選ばれた数人の記者も立ち会うことができる。執行を公開することには価値があると考えている。 「執行する側による不適切な行為や、不必要な痛みや苦しみを死刑囚に与えていないかを確認するため、執行に外部の人が立ち会うのは何の問題もないと思う。反対に、完全に非公開にしてしまうと何が行われているのか、人々の心に疑念が生じる。昔のように大衆が馬鹿騒ぎをするのはよくなかったと思うし、今はいいバランスを見つけることができたと思う。執行に携わる人々を、国のために専門的に行動するプロフェッショナルであると確認することが大切なのではないか。それが執行を公開することの価値だろう」
日本では、死刑執行は完全に非公開だ。刑務所関係者以外では検察官が立ち会うが、メディアはもちろん、被害者や死刑囚の家族も立ち会えない。私がそう説明すると、オズミントさんは最後にこう語った。「もし日本での執行に検察官や被害者、死刑囚の家族、弁護士、メディアといった分野の人たちが参加すると、執行に対する市民の信頼はより高まるのではないか」