更年期世代も「まだ恋愛をする」理由とは?脳の仕組みから考える「極めて明快な理由」【脳科学者・黒川伊保子先生に聞く】
婚外恋愛=不倫とは、脳科学的にみてどのような状態なのでしょうか?
――浮気という言葉が出ました。浮気というのはある意味「確定的に起きる状態」なのですか? 恋は永遠ではありません。なぜなら、生殖に至れない相手に一生フォーカスしていたら、生殖機会を逸してしまうから。人類の場合、「何をしても愛しい」というアバタもエクボ期間は、長い人でも3年ほどのようです。 このため、私は、可能ならば、「交際1年以内に結婚を決め、交際2年以内に結婚し、交際3年以内に懐妊する」のを推奨しています。それを過ぎると相手への不満が募るから。 さて、結婚しても、要は同じこと。この春、話題になった韓流ドラマ『涙の女王』でも、結婚3年目で冷めきったカップルが主人公でした。子どもを持たないまま、共働き夫婦でいると、同志感や友情に転じてゆき、やがて、婚外の誰かと恋に落ちる可能性は十分にありますね。 それと、先にお答えしたように、子どもを持った後は、脳が「さらなる別の遺伝子」を求めるので、これまた、婚外恋愛に陥る可能性高し。動物の生殖システムにおいて、浮気は想定内ということになります。
「なぜ」不倫が起きるんですか? 言われてみれば、理由はシンプルな…!
――つまり、婚外恋愛=浮気はある意味、避けられない? でも、仕組み的にはNGですよね。にもかかわらず、なぜ起きるのでしょう? それは、一夫一妻制の結婚制度があるからでは? 本来、人類の生殖スタイルは、平安時代のような多夫多婦制のはず。それを一夫一妻制にしばったから恋が不倫と呼ばれてしまうだけで、恋する気持ち=「脳の、よりよい遺伝子を求める本能に基づく情熱」には、独身も婚外も関係ありません。 ただし、その情熱に身を任せていいかどうかは、また別の話。というのも、人類のオスには生育責任があるからです。 人類の生殖リスクは、動物界最大。生まれて1年以上歩かないなんて人類だけ。脳が発達した人類は頭も大きいのでお産のリスクが高いし。このため、メス単体では生殖の完遂は難しく、オスの生育責任もまた、人類の生殖の仕組みの一環です。 生育責任の範疇を超えて、遺伝子をばら撒こうとするのは、結果、合理的でないはずです。