レッドブル昇格を逃した角田裕毅、来季〝就活〟成功のカギは脱ホンダ
【ベテラン記者コラム】 自動車F1シリーズのレッドブルがセルヒオ・ペレス(メキシコ)との契約を解除し、来季はリアム・ローソン(ニュージーランド)を起用することを決めた。今季、ドライバー部門で自己最高の総合12位と健闘した角田裕毅は、兄弟チームRBでF1参戦5年目を迎える。 【写真】レッドブルの2012年型マシン「RB8」を走行させる角田裕毅 角田は最終戦アブダビ・グランプリ(GP)後、レッドブルの今季用の車体「RB20」を初走行させた。127周を走破し、「レッドブルがなぜ王座を争っているのかよくわかった。僕のドライビングスタイルに合っていると感じた」と好感触を得ていたが、評価を覆すには至らなかった。 レッドブルは今季、マックス・フェルスタッペン(オランダ)がドライバー部門で総合4連覇を果たした一方、製造者部門では相棒ペレスの不振が響き総合3位に甘んじ3連覇を逃した。チームは2026年まで契約があったペレスを解雇し、後任としてF1で4年の経験がある角田ではなく、1年を通してフル参戦したことがないローソンを抜擢した。 レッドブルとRBは25年までホンダが技術支援している「Honda RBPT」のパワーユニット(PU)で参戦するが、26年からは米フォードと提携する。ホンダ育成出身の角田にとって双方の関係が継続する来季が、レッドブルに加入する事実上、ラストチャンスだった。 F1は26年から車体、PUともに新規則が導入されるため、ほとんどのドライバーが同年まで所属チームとの契約を結んでいる。単年契約の角田が来季限りでRBから放出された場合、2年後は居場所を失い、路頭に迷う可能性がある。 角田をバックアップするホンダは26年からF1に復帰し、アストン・マーチンとタッグを組む。元総合王者フェルナンド・アロンソ(スペイン)は同年までの契約を締結しており、同僚でチームオーナーの息子ランス・ストロール(カナダ)は余程のことがない限り、その座は安泰。日本人ドライバーが移籍するには空きがない状況だ。 「シーズンを通してやってきたことには満足している。全ての面で成長を感じる。プレッシャーにも落ち着いて対処できるようになった。来季は右肩上がりのシーズンにしたい」
今季のような車体の限界を超える走りを続ければ26年以降もF1で生き残る道は開けてくる。実際、角田は6月にRBとの契約を更新した際、複数のチームから獲得オファーがあったことを明かしていた。来季は移籍先を探す〝就活〟のシーズンとなることが濃厚。レッドブルに貼られたホンダドライバーというレッテルをはがし、大変革の年も実力でスターティンググリッドに並んでみせる。