難問山積のパキスタン新政権、混乱の中で船出
(C)sharafmaksumov/stock.adobe.com
「与党のメンバーは、国民の負託が盗まれたことを知っているはずだ」――。3月3日、2月のパキスタン総選挙で当選した国会下院議員らによる首相指名選挙で シャバーズ・シャリフ 新首相(72)に敗れたオマル・アユーブ・カーン元経済問題相は、投票後の演説で選挙での不正疑惑を糾弾した。議場では逮捕・収監されて立候補できなかった イムラン・カーン元首相 (71)を支持する議員らが「カーン氏こそ唯一のリーダー」とスローガンを叫び、議会は一時騒然となった。 2月8日に投票を実施したパキスタン総選挙は開票の結果、単独過半数を獲得する政党がなかったため、前政権を担っていたシャリフ元首相兄弟が率いる「パキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派(PML-N)」と、ライバル政党で故ベナジル・ブット元首相の息子ビラワル・ブット元外相の「パキスタン人民党(PPP)」など6党が連立政権樹立で合意した。 元クリケット・スターで草の根人気を誇るカーン元首相率いるかつての政権党「パキスタン正義運動(PTI)」は選挙運動から事実上締め出されたが、無所属で出馬したPTI系候補者は各地で善戦し、選挙の対象となった266議席中で最多の95議席を獲得した。
本文:3,391文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
緒方麻也