“もしトラ”失速? 今後のカギを握る「SNS戦略」と「妊娠中絶問題」を専門家解説
バイデン大統領が撤退表明し、ハリス副大統領が大統領選に出馬表明するまでは、トランプ氏の優勢が報じられ“もしトラ”あるいは“ほぼトラ”などとも言われたが、現在では僅差ながら「ハリス氏リード」との世論調査も出ている。 【映像】分断深刻化…陽気に笑うハリス氏を揶揄するトランプ陣営 トランプ氏は本当に失速したのか? アメリカ現代政治外交が専門の前嶋和弘教授に聞いた。 前嶋氏は現状について、「基本的には5分5分だがわずかにハリス氏が上回っている。選挙でそんなに強くないある意味 “ぽっと出”のハリス氏に逆転された形だ。とはいえ、ハリス氏は予備選を戦い抜いてきていないので未知数なところがあり、ハリス氏の民主党大会での演説に世界が注目している。そもそも、今は民主党が党大会で盛り上がっているタイミングであるため必然的に人気も上がる。まだまだこの先も当分僅差は続くのでは」と分析した。 アメリカ大統領選はSNSでも大いに盛り上がっているが、その中においてトランプ氏がハリス氏の「笑い方」を揶揄しているという。 この点について前嶋氏は「アメリカでは選挙が一種の産業になっている。盛り上がりを見せる民主党に対して、共和党側はいかにこれを腐すか考えている。トランプ氏がハリス氏の陽気な笑い方について『あの笑い方はなんだ』と言っていて、『民主党は明るくていいじゃないか、暗いやつより』と言っていた。さらに最近保守側は『ハリス氏はアルコール依存症だ』とまで言っている。SNSにおいては互いが全く別世界を見ており、分断が起きている。アメリカの中は日本よりも表現の自由が重視される分だけ、驚くほど規制がない」と説明した。 SNSにおいて、民主党はどのようなメッセージを発信しているのか? 前嶋氏は「『もうトランプの時代は終わった』『自由と民主主義と多様性を守るんだ』というメッセージが多いが、今年アメリカの中で大きな争点になっているのが、妊娠中絶の権利だ。妊娠中絶は日本だと女性やカップルの権利だと思われているが、アメリカだと神様が子どもを与えるものであって、カップルに権利はないと思っている熱心なキリスト教徒がたくさんいる。この人たちに対応してアメリカでは、妊娠中絶について、2022年に州が決めることができるようになった。フロリダ州だと妊娠して6週間を経過すると、たとえレイプであっても近親相姦であっても中絶ができなくなっている。この話題においては、共和党内での意見も分かれるところもあり、民主党はこれを最大の争点としている」と解説した。 (『ABEMAヒルズ』より)
ABEMA TIMES編集部