住友ゴムが「ダンロップ」欧米販売権、1000億円で取得…阪神大震災受けグッドイヤーに移る
住友ゴム工業は8日、米タイヤ大手「グッドイヤー」から、欧州や北米の「ダンロップ」ブランドの自動車タイヤを販売する権利を5億2600万ドル(約830億円)で買収すると発表した。1995年の阪神大震災で自社工場が被災したことなどを受け、欧米のダンロップ販売はグッドイヤーに移っていた。震災から30年がたち、再び世界の主要市場で統一ブランドでの展開が可能になる。
5月をめどに欧米などで販売するための商標権などを取得する。顧客を引き継ぐ費用なども含め、計約1000億円をグッドイヤーに支払う。
住友ゴムは現在、日本やアジアで「ダンロップ」、欧米では「ファルケン」ブランドのタイヤを中心に販売している。今回の買収により、高級車向けに強く、採算性の高いダンロップを、大型市場の欧米で販売できるようになる。
オンラインで記者会見した山本悟社長は「今後はダンロップを基幹ブランドとし、独自技術を搭載した差別化商品価値を最大化していく」と述べ、全天候型タイヤなど高付加価値タイヤの販売比率を、2024年の4割から、30年に6割に高める計画を示した。
住友ゴムは1980年代に欧米各国のダンロップ社を買収した。震災で被災し、99年にグッドイヤーと資本・業務提携したが、2015年に提携を解消した。