「中国戦で感じたのは"停滞感"」11月のW杯アジア最終予選を2連勝で飾った日本代表に福西崇史が見た課題
不動のボランチとしてジュビロ磐田の黄金期を支え、2006年開催のドイツワールドカップには、日本代表の中心メンバーとして出場。日本サッカーが世界水準へと飛躍していく瞬間をピッチの中央から見つめていた福西崇史。 そんな福西崇史が、サッカーを徹底的に深掘りする連載『フカボリ・シンドローム』。サッカーはプレーを深掘りすればするほど観戦が楽しくなる! 第113回のテーマは11月のFIFAワールドカップ26 アジア最終予選について。インドネシア戦、中国戦というアウェイ2連戦に挑んだ日本代表。2連勝を飾ったなかで見えてきた課題を福西崇史が解説する。 * * * ■中国戦で感じた"停滞感" ――日本代表がFIFAワールドカップ26 アジア最終予選の第5節・インドネシア(4-0)、第6節・中国戦(3-1)に臨んで2連勝を飾りました。まずは終わったばかりの中国戦はどのような印象でした? 福西 中国は4-3-1-2のシステムでかなりコンパクトに中央を締めて守って、日本の前線にスペースを与えない対策をしてきて苦労しましたよね。なかなかチャンスを作れず、厳しい展開となった中でもセットプレーで先制して、日本が勝負強さを見せつけたゲームだったと思います。 ――中国のコンパクトな守備にかなり手を焼きましたね。 福西 日本が苦戦したのはいつもの先発から少しメンバーを変えたことも影響していたと思います。いつものような連携がスムーズにいかず、やや停滞感というか、リズムが上がらないところがありました。前線は裏への動きを出せなかったし、中盤のパスもテンポが上がらず、相手もスライドしながらうまく守られてしまいましたよね。 今回の守備陣のように誰かが怪我でいなかったり、出場停止で出られないということは今後もあるので、メンバーが変わったときの連携面は課題の一つとして見えましたね。ただ、そうした難しいゲームでも全体を通して見れば日本がボールを動かして相手の体力を奪いつつ、後半は交代で出てきた選手たちを中心に勝負をかけて、うまくチームで戦えた試合だったと思います。 ■前半に機能しなかった前線 ――前半の停滞感というところで、今回左ウイングバックで先発した中村敬斗選手のところは、思うように機能しなかった部分でしょうか。 福西 やっぱり中村は前のエリアで勝負したい選手だけど、相手がタイトに守ってスペースを与えなかったことでなかなか良い形で勝負ができなかったし、左シャドーに入った南野拓実もウイングがボールを持った次の動き出しで勝負して持ち味が出る選手ですよね。そこでタイミングが合わなかったことでスペースを消されてどちらも良さが出なかったと思います。 ――トップの小川航基選手にもボールを入れられなかったですね。 福西 相手が中央をかなり締めてきたこともそうですが、彼の周りに誰もいなかったのでクサビのパスを入れることができなかったし、彼自身も良いタイミングで動き出すことができなかったですよね。 それでサイドへボールを送るしかなく、サイドはサイドで詰まって結局はボールを後ろに下げるしかないという展開が続きました。ここは実戦を通じてコミュニケーションを取りながら選手同士の距離感や動きだしのタイミングや精度を高めていくしかないと思います。