高齢者に安心して「果物」を味わってもらうための注意ポイント「りんごやブドウで誤嚥の危険も」【管理栄養士解説】
誤嚥や窒息を防ぐ果物の切り方・調理方法
果物の種類や、食べるかたの咀嚼力などによって、提供方法に注意が必要です。 ■りんご・梨・柿/かための果物 誤嚥を防ぐためには、りんごや梨、柿などかための果物は、薄めに(3mm程)スライスするのがおすすめです。細かく刻んでしまうと口の中でバラバラになってしまい、かえって飲み込みにくくなってしまいます。 とくに噛む力や飲み込む力が弱ってきているかたの場合は、すりつぶしたりミキサーにかけたりしましょう。 その際、すりおろし方が均一になっていないと、固形の状態のものがのどに詰まって誤嚥してしまう恐れがあるので注意してください。 ■バナナ・メロン・スイカ/やわらかめの果物 比較的誤嚥のリスクが少なく、食べやすい果物には、バナナやメロン、スイカなどがあります。薄くスライスするか、1㎝角程度の刻みにすると口の中でつぶして食べやすくなります。 ■ブドウ/球状の果物 ブドウを提供する場合は、小粒のデラウェアサイズのもので、さらに皮をむいて提供するのが理想的です。 マスカットや巨峰の場合は、皮をむいて半分に切って種があれば取りましょう。大粒のぶどうは、1粒まるごと提供してしまうと誤嚥のリスクが高くなるのでとくに注意が必要です。
果物の水分でむせてしまうケースも
果物は水分を多く含んでいます。嚥下の力が低下しているかたにとっては、噛んだ時に口の中で水分と固形物に分かれるものは誤嚥につながるリスクがあります。水分でむせやすいかたは、果物を食べるときもとろみ調整剤を利用しましょう。 やわらかい果物を食べやすい大きさに切って、果汁にとろみをつけた”あん”をかけると、味も薄まらずに食べることができます。 ただし、果物の果汁は、とろみがつくのに時間がかかる場合があるので、1度にとろみ剤を入れすぎずに数分を置いてとろみの具合をみながら調整を行いましょう。 たとえば、りんごや梨は、加熱調理してコンポートにするとやわらかくなり食べやすくなるのでおすすめです。 なお、カットの仕方は、サイコロ状ではなく、薄いスライスのほうが食べやすくなります。