「よかれと思った指導がパワハラに」…弁護士に聞く「パワハラ」と「指導」の境界線とその見極め方
トラブルに巻き込まれないためには予防あるのみ!
パワハラ防止法以降、テレビをはじめ、マスコミはこぞってこの問題を取り上げた。確かに不当なハラスメントを受けていた人たちは多かったし、パワハラ防止法も出発点では間違っていなかっただろう。 だが昨今の風潮からは、悪質なパワーハラスメントに苦しむ被害者と、道義的な意味でのパワーハラスメントを問題視する被害者がごちゃ混ぜになり、より救済すべき相手が見えにくくなっていると梅澤氏は懸念する。今後、パワハラ問題はどうなっていくのだろうか。 「法的な意味でのパワハラというものの基本的な考え方が社会全体に浸透してくれば、このような懸念も落ち着いてくるとは思うんです。 ただ、個人的にはそのような気配をここ10年感じることがなく、むしろ世間の風潮と正しい理解との乖離は広がっているようにも思います。そのため、今後はおそらくもっと締め付けが厳しくなり、監視社会のようになる可能性もそれなりにあるんじゃないかなと思います。 例えば、何かヘタなことをするとSNS等で無関係の人間から袋叩きにされ、世間全体に謝罪するみたいな流れが既に出来上がってきています。このような風潮からすると、これからはいっそうトラブルとなる前の予防や注意が大事になるのでしょうね」 ◆ドライに割り切って仕事を円滑に。覚えておきたい「6つの予防策」 加害者の立場で、パワハラをしていないことを証明するのは不可能に近い。なかったことを証明するのは、まさに「悪魔の証明」といえるだろう。 そうなると、ハラスメントトラブルに巻き込まれないためには日頃からしっかりと予防策をとるしかない。最後に、リーダー世代が注意すべきポイントを教えてもらったのでぜひ参考にしてほしい。 1_大切なのは「職場は仕事をするところ」という認識 職場で相手と接するうえで困ったときに、自分がやろうとしていることは業務上必要なのか、さらにこの必要性を踏まえた対応として常識的なのかを慎重に検討してみましょう。職場は仕事をするところです。業務上必要であるというロジックが立ち、それを相手にきちんと説明できる状態がキープされているのであれば、よほどおかしなことをしない限りハラスメントとは評価されにくいと思います。