【チャールズ国王と天皇陛下】お二人に共通する、未来を見据えたご活動とは?<ジャーナリストがいま振り返る、天皇皇后両陛下の訪英⑤>
テムズ・バリアの開発に尽力した作家カズオ・イシグロの父
――テムズ・バリアにも行かれていますね。ここはテムズ川の施設ですか。 大久保さん:はい、天皇陛下は学生時代から水問題に注目されていて、英国に留学されていたときには、「18世紀のテムズ川の水上交通」を研究テーマにされていました。 テムズ・バリアはロンドンを流れるテムズ川の洪水を防ぐ世界最大級の可動式防潮システムです。もともとテムズ川は、北海の干潮と満潮の影響を受けて、水位が大きく変わるんです。そこに高潮と大雨が重なると水害が起こります。 ――海から川に水が逆流してくるのですか? 大久保さん:そうです。1953年に大潮・高潮・暴風雨による英国史上最悪の被害が起き、多くの人が亡くなりました。この悲劇を再び起こさないよう、テムズ・バリアが建設されたのです。陛下は晩餐会でのスピーチで、テムズ・バリアにもふれています。 高潮予測の発展には、日本の海洋研究者石黒鎮雄(しずお)博士が英国の研究所に招かれ、高潮の正確な予測をする計算機をつくって貢献したそうです。日系英国人でノーベル文学賞を受賞した、カズオ・イシグロさんの父親です。 ――カズオ・イシグロさんは『日の名残り』『わたしを離さないで』『忘れられた巨人』などの作品を書かれていますね。映画にもなっていて、広く知られています。心に残る名作ばかりです。
~~~~~~~~~~~~~~~~ キャプションは過去の資料をあたり、敬称・名称・地名・施設名・大会名・催し物名など、その当時のものを使用しています。 バナー写真/JMPA 構成・文/高木香織
大久保 和夫
【関連記事】
- 【つづき】打ち合わせをしたわけでもないのに不思議とシンクロしていた、チャールズ国王と天皇陛下の晩餐会でのスピーチとは?
- 雅子さまの英語は「信じられないほど流暢」と英国外交官のお墨付き!そして愛子さまも...【ジャーナリストが振り返る天皇皇后両陛下の訪英(3)】
- 「キティちゃん」や「ポケモン」を話題にしたって本当?ユーモアたっぷりだった、チャールズ皇太子の晩餐会スピーチ【ジャーナリストがいま振り返る、天皇陛下と雅子さまの訪英(2)】
- 【41発の礼砲は、最高の儀礼で迎えられた証し】両陛下の英国ご訪問は「歓迎ムード一色」だった〈ジャーナリストがいま振り返る、天皇陛下と雅子さまの訪英〉
- 【34年ぶりに留学が“完結”】オックスフォード大学から「名誉法学博士号」を授与された雅子さまの秘めていた想いとは...?<ジャーナリストが振り返る天皇皇后両陛下の訪英(4)>