「なぜ私は話すことにしたのか」声震わせ涙の訴え 元検事正の性的暴行、被害女性会見詳報
酒に酔った部下に性的暴行を加えたとする準強制性交罪で元大阪地検検事正、北川健太郎被告(65)が起訴された事件で、被害者の女性検事が25日の初公判後、現職検事として異例の記者会見を開いた。事件から約6年後に被害を申告した理由や、被告から口止めされた状況の詳細などを赤裸々に語った。そして「私自身の経験を話すことで今苦しんでいる被害者に寄り添い、性犯罪を撲滅したい」と訴えた。 【写真】「これでお前も俺の女だ」元大阪地検検事正、犯行時に部下に発言か ■大きな権力との闘い 会見は、この日の公判への言及から始まった。被告は「争うことはしません」と起訴内容を認めていた。 「被害を受けてから約6年間、本当にずっと苦しんできました。なぜもっと早く罪を認めてくれなかったのか。もっと早く罪を認めてくれていたら、この経験を過去のものと捉えることができて、また新しい人生を踏み出すことができた。認めたとしても私の処罰感情が安らぐはずもありません」 「大きな権力との闘いで強い恐怖や孤独、『事件が闇に葬られるかもしれない』という不安も大きかった。温かく見守り、私の選択を応援してくださった皆さまのおかげで、今日の公判を迎えることができました。本当にありがとうございます」 涙を流し、声を震わせる女性。続いて記者会見を開いた理由を説明した。 「これまで検事として、たくさんの被害者とともに泣き、ともに闘い、寄り添ってきました。そして今、私自身の経験をお話しすることで、今まさに苦しんでいる被害者に寄り添うことができればと思い、会見を開くことにしました。性犯罪の本質を正しく理解していただき、性犯罪被害者の過酷な実態を正しく知っていただくことで性犯罪を撲滅したい」 「性被害を受け、全てを壊されました。すぐに被害を申告できなかったのは、被告から『公にすれば死ぬ』『検察職員に迷惑がかかる』と口止めをされ、『懸命に仕事をしているたくさんの職員に迷惑をかけられない。検察を守らなければならない』と思ったからです」 ■同じような被害者を生まないために