「なぜ私は話すことにしたのか」声震わせ涙の訴え 元検事正の性的暴行、被害女性会見詳報
被告はその後、女性に「俺の検事人生もこれで終わった。時効まではちゃんと対応をする。食事をごちそうする」と発言。令和元年に被告が退官する前には「そろそろ退職しようと思っているけど、退職しても訴えないか」と尋ねたこともあった。
女性は事件についての認識を書面で回答するよう求め、被告は退官直前の同年10月に提出した。「大スキャンダルとして組織は強烈な批判を受け、検事総長以下が辞職に追い込まれる」「大阪地検は仕事にならないぐらいの騒ぎに巻き込まれ、組織として立ち行かなくなる」などと口止めされた上、これまでに複数の女性と関係があったことを認めながら、「あなたのような被害者はほかにおらず、失敗したのはあなただけ」と記されていた。
「何とかその後も自分を奮い立たせてきたが、被告が感情を逆なでし続け、被害がなかったかのように振る舞っていたので、怒りや悔しさ、自己嫌悪が高まっていった」
女性は病院を受診し、仕事を続けるのは無理だと診断された。そして今年に入り、被害を申告した。
■「あなたを救ってくれる人は必ずいる」
女性は一連の説明後、記者からの質問にも回答した。
――被告にどのような処罰を望むか
「長期の実刑判決を望みます。私はPTSDで一生抱える傷を負っている。それに見合うだけの処罰を望みます」
――会見を行うことで検察庁内で不当な取り扱いを受ける懸念は
「もちろん、それはある。私自身のためもあるが、検察庁が今後、被害者に十分に寄り添い、傷つけないようにすることが大事だと思っている。もちろん一生懸命頑張っている検事、事務官はたくさんいるが、全員ではない。この会見をきっかけにより被害者に寄り添う対応をしていただければありがたい」
――被害を受けている人へ伝えたいことはあるか
「(涙声で)よく生きていてくれたね。ありがとう。あなたは何も悪くない。何も悪くないのに自分を責めてしまう。よくわかる。でも悪くない。私も自分を責めてしまった。あなたは生きていて本当にえらい。私は被害を言い出せず苦しみました。でも、声を上げたら、本当にたくさんの支援をしてもらった。声をあげるのは勇気がいるけれども、あなたを救ってくれる人が必ずいる。もし悩んでいるのであれば、あなたが一番信頼できる方へ声をあげてみてください」
女性の記者会見は、2時間以上に及んだ。性犯罪の被害者であり現職検事でもある女性の訴えに、被告や検察庁がどのように対応するのか注目される。