「仕事がつまらない…」辞めたくても辞められない人が、今すぐできるたった1つのこと
「自分は何も持っていない」「いつも他人を妬んでしまう」「毎日がつまらない」――誰しも一度は感じたことのある、やり場のない鬱屈した思い。そんな感情に寄り添ってくれるのが、イラストエッセイ『ぼくにはなにもない 愛蔵版』。小説家だけではなく、大人気ゲーム実況グループ「三人称」の鉄塔としても活躍する賽助氏も本書の読者だ。この記事では本の感想も交えながら、賽助氏が考える「心の持ち方や生き方」について語ってもらった。(構成/ダイヤモンド社・林拓馬) 【この記事の画像を見る】 ● 「仕事がつまらないし給料も安い」不満はどうすればいい? 仕事がつまらないし給料も安いけど、転職する勇気もない。 こういう状況の人が「今すぐやるべきこと」について考えると、まず大事なのは、自分にとって「仕事」や「お金」がどういう位置づけなのかを整理することだと思います。 仕事に対するモチベーションが「面白さ」や「給料の高さ」だけで成り立っている場合、それが欠けるとやっぱり続けるのがしんどくなりますよね。 そんなとき、まず選択肢として考えられるのは「転職する」「部署異動を模索する」「仕事のやり方を変える」あたりだと思います。 ただ、転職に踏み切れないのであれば、今すぐの現実的な選択肢としては「仕事の外に楽しみを見つける」ことが一番ハードルが低いんじゃないかと思います。 たとえば、趣味を広げてみたり、場合によっては趣味をマネタイズする方向に進めてみたりするのもいいかもしれません。 最近では、趣味を活かして収入を得る方法がいろいろありますよね。僕がやっているゲーム実況だって、十数年前まではそれで対価を得るなんて考えられもしなかったことなんですから、時代は変化するものだなって本当に思います。 今やっている仕事を「生活の保険」として割り切り、その一方で趣味に時間を割いて、「これをどうやったら形にできるか」と考えてみる。 そこに少しずつ力を入れていくことで、趣味が副収入に変わることもありますし、何より「やりがい」や「楽しさ」を感じられるようになる可能性があります。 僕自身も「好きなことを仕事に」できてよかったという実感があります。 「好きなことを仕事にすると、純粋に楽しめなくなる」と言われることも確かにあるんですよね。 でも、たとえば僕の場合、ゲーム実況を仕事にしたことで、ゲームが完全に嫌いになるなんてことはなかったんです。 もちろん、仕事としてのプレッシャーやストレスはありますけど、それでも「ゲームが好き」というベースは変わらないので、完全にマイナスに触れることはありませんでした。 一方で、転職や仕事の辞め方について不安を抱えている人も多いと思います。 僕自身は「転職」という経験はないんですが、仕事を辞めた経験はあります。 そのときは、不安がゼロだったわけではありません。 でも、僕の場合はゲーム実況や作家という副業のようなものを同時に進めていたので、「辞めてもこれがある」という気持ちの支えがあったんです。 だから、いきなり全てをゼロにして飛び出すのではなく、何か別のものを並行してやっておくと、辞めるときの不安も少しは軽くなるんじゃないかなと思います。 例えば、「副業を始める」とか、「趣味を副業化する方法を考える」など、小さな一歩を踏み出すのは良い選択肢です。 今の仕事が忙しすぎてそれが難しい場合もあるかもしれませんが、少しでも余裕があれば、少しずつでも趣味ややりたいことを形にしていくことで、徐々に新しい道が見えてくることもあると思います。 重要なのは、「今すぐすべてを変えよう」と焦らないこと。 小さな一歩を積み重ねていくことで、気づいたら違う道が開けているということもあります。 なので、今の仕事を割り切りながら、自分が楽しいと思えることを模索していくのが現実的で無理のない方法なんじゃないかなと思います。 (本記事は『ぼくにはなにもない 愛蔵版』の感想をふまえた賽助氏へのインタビューをもとに作成しています) 賽助(さいすけ) 作家。埼玉県さいたま市育ち。大学にて演劇を専攻。ゲーム実況グループ「三人称」のひとり、「鉄塔」名義でも活動中。著書に『はるなつふゆと七福神』『君と夏が、鉄塔の上』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)『今日もぼっちです。』『今日もぼっちです。2』(以上、ホーム社)、『手持ちのカードで、(なんとか)生きてます。』(河出書房新社)がある。
齋藤真行/さいとう れい