7000万円を相続した「69歳男性」が青ざめた…「税務署」から突然かかってきた「恐怖の電話」
税務署が家にやってきて調査をする。そんなのは富裕層にだけ起きること……なんて思っていたら大間違いだ。相続は、ちょっとしたミスが命取りになる。相続の「恐ろしさ」を知っておいて損はない。 【マンガ】「憧れのタワマン生活」が一転…!残酷すぎる「格差の現実」
「ふつうの人」が税務調査に入られる恐怖
「もしもし、こちらは東京のA税務署です。相続税のことでうかがいたいことがありまして、来週の水曜日に調査にうかがいたいのですが、その日はご在宅ですか。そうですか、その日は用事がありますか。では別の日で調整をしましょう」 東京23区内に暮らす栗田秀明さん(仮名・69歳)のもとに税務署から突然の電話があったのは、3年前のことだった。 電話口の声はこちらに有無を言わせない事務的かつ冷たい調子で、「税務調査」に入ることを告げてくる。栗田さんはその冷ややかな物言いに、唯々諾々と従うことしかできなかった。話を終え受話器を置いた手には、汗がにじんでいた―。 栗田さんの父親が93歳で亡くなったのは、この電話からさらに2年ほど前のことである。その時点ですでに母親は亡くなっていたので、父親の財産はすべて一人っ子である栗田さんが相続することになった。 父親の家は埼玉県内にあった。比較的大きな駅が最寄りの一戸建てで、評価額は土地もあわせて4000万円ほど。くわえて、預金が3000万円ほど残されていた。
「意外なもの」が出てきた
現役時代の父親は上場企業でそれなりに出世しており、栗田さんが予想していた以上に資産が遺されていた。 「合計で7000万円ほどを相続することになり、もともと知り合いだった税理士に相談しながら自分で申告の手続きを始めました」(栗田さん) 相続のために親の財産を整理するなかで、栗田さんは実家の引き出しから思いがけないものを発見する。それは、栗田さん自身が名義人となった口座の通帳だった。 預金額は500万円ちょうど。父親の口座から栗田さん名義のその口座に、1年に一度、50万円ずつのおカネが10回に分けて振り込まれている。栗田さんが続ける。 「父が私の名義で預金をしていたようなんです。いわゆる『名義預金』というやつですね。父がどういうつもりで預金をしていたのかはいまもってよくわかりません。私になにかあったときのためなのか、それとも相続税対策だったのか。 それで……安直だったとしか言えないのですが、私の名義の預金だし、このおカネに相続税はかからないだろうとタカを括って、この口座のおカネは相続財産として申告しなかったんです」 相続税の申告期限は、被相続人の死を知った日の翌日から10ヵ月だ。栗田さんは期限の少し前までに申告を終えた。