世界王者として今年を有終の美で締め括ったのは織田夢海「ワールドスケートボードストリート世界選手権2023東京」女子決勝
【ベストトリック5本目】 4本目を終えた時点でのトップ3は織田、レアウ、西矢の順となり、この最後の一本でこの3名の順番がどう入れ替わるか、もしくはまた4位に迫るコベルや他選手が彼らを引きずり下ろすのかが注目となったが結果としてはそのままトップ3の順位は決することとなった。 その一方で、ベストトリックをずっと決めきれないまま同じトリックにトライし続け、最後の1本で高得点を残したのは中国のチェンシー・チー。終始中央のハバセクションにて「キックフリップフロントサイド5-0グラインド」にトライし続けたが、ラストトリックでランディングに成功した。ボードの前タイヤがレッジについてしまったことから「5-0グラインド」ではなく「50-50グラインド」として判断され、想定よりも少し得点を落としたが、それでも89.44ptという高得点をマークした。チーは弱冠13歳でありながら今年開催されたアジア大会の優勝者。今回は表彰台に食い込むことはなかったものの、今後は日本人選手勢を脅かすアジアの強敵になる可能性も否めない逸材のように感じられた。 またチーに続いて5本目のラストトリックをメイクしたのは吉沢。彼女が最後に選んだトリックは「ハリケーングラインドtoリバート」。自身のベストスコアを上回る87.88ptをマークし自身の最終順位を5位まで引き上げた。 その後はそのまま暫定4位以下の選手によるトップ3への追い上げもないまま、トップ3の織田、レアウ、西矢の最終トリックへ。最初にトライした暫定3位の西矢は、コベルが2本目で見せた9段のステアでの「ヒールフリップ」で86点台を出したのを見て、同じく西矢の得意トリックでもあることから果敢にトライするも練習ではほとんどビッグステアではやっていなかった影響か、3本目からトライし続けたが着地が合わず決めきれなかった。今回は3位という結果となったがこの成績によって依然世界ランキングトップを維持することとなり、パリ五輪最有力選手ということは変わらないままフェーズ2を迎える。来年、彼女がどんなパフォーマンスを見せるのかが楽しみだ。 そして次は暫定2位のレアウのラストトライ。レアウも西矢と同じく3本目からは「キックフリップフロントサイドブラントスライド」にトライし逆転を目指すも、ラストトリックでも失敗し点数伸ばせずに2位で大会を終えることとなった。今年は先日行われた「SLS SUPER CROWN WORLD CHAMPIONSHIP」で優勝するなど強さを見せた年だったが、WSTシリーズでは2年連続で世界チャンピオンの座を守ることはできなかった。