一時1ドル139円50銭台まで円高が進む:米国の大幅利下げ観測は行き過ぎか?
日本が休場の中FRBの利下げ観測で円高が進む
日本が休日だった9月16日のアジア市場では、薄商いの中、ドル円レートは円高に振れ、一時1ドル139円50銭台まで円高が進んだ。昨年7月以来1年2か月ぶりの円高水準だ。 今週9月17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で 米連邦準備制度理事会(FRB)が0.5%の大幅な利下げに踏み切るとの観測などが背景にある。連休明けの17日のドル円レートは、1ドル140円台で東京市場に戻ってきた。 日米の金融政策が逆方向に動いており、さらに歴史的な円安の原因の一つでもあった日本での中長期の物価高観測が徐々に後退していく中、今後も円安修正の流れが続くものと見ておきたい。 FRBが9月17、18日のFOMCで2020年以来となる利下げが実施されることはほぼ確実な情勢だ。問題は利下げ幅であるが、金融市場の見方は0.25%と0.5%幅との間で大きく分かれている。 6日には既にFRBはFOMC前のブラックアウト期間に入っており、利下げ幅についてのヒントを金融市場に伝えることはできない。FOMCまでに公表される経済指標などの情報をぎりぎりまで見極めてから、FRBは利下げ幅を最終的に判断する方針なのだろう。
利下げ幅で市場の見方は分かれる
パウエル議長は先月のジャクソンホール会合の講演で、労働市場のリスクに注意を向けるよう、はっきりと呼び掛けた。そのうえで「進む方向は明確であり、利下げのタイミングとペースは今後発表されるデータや見通しの変化、リスクバランスに左右される」と述べていた。雇用情勢が明確に悪化すれば、FRBは0.5%あるいはそれ以上の幅での利下げを躊躇わないだろう。 現状では、そこまで弱い経済指標は発表されていないが、政策が手遅れにならないように、あるいは先行き経済指標が予想外に下振れすることへの保険の意味で、今回9月のFOMCでFRBが0.5%の利下げに踏み切るとの見方をする向きは少なくない。 他方、雇用、経済情勢が急速に悪化する兆候はまだ見られていない中、FRBが初回から0.5%の通常よりも大きな幅での利下げを行うと、金融市場は先行きの景気情勢に不安を強めてしまう恐れがある。また、次回以降も0.5%幅での利下げが行われるとの観測が市場に強まり、FRBの政策が縛られてしまう恐れがある。 こうした観点から、少なくとも初回は0.25%の幅の利下げにとどめ、今後の情勢次第で0.5%の利下げを実施するとの見方も相応にある。