一時1ドル139円50銭台まで円高が進む:米国の大幅利下げ観測は行き過ぎか?
0.25%の利下げの可能性の方が高いか
FRBの政策金利の変更は、0.25%が基本である。2022年3月以降の利上げ局面では、物価高への対応が遅れたとの危機感からFRBは0.75%の異例の大幅の利上げを連続させたが、初回の利上げ幅は0.25%であった。また、2016年の利上げ開始時、2019年の利下げ開始時も最初は0.25%幅の政策金利の変更だった。異例の大幅な政策金利の変更は、リーマンショックやコロナショックといった危機的状況の時に行われ、平時では一般的でない。この点から、今回のFOMCでの利下げ幅は0.25%の可能性の方が高いと見ておきたい。 利下げ幅に加えて金融市場が注目するのは、FOMC参加者の政策金利見通しである。金融市場は9月の利下げを含めて、現時点で年内1%強の利下げを織り込んでいる。しかし、FOMC参加者が示す利下げ幅はこれよりも小さいだろう。 今回のFOMCでの利下げ幅は0.25%となり、さらに年内残り2回の利下げ幅が合計で0.50%にとどまると予想する。その場合には、金融市場の利下げ観測はやや後退し、ドル円レートはドル高円安方向に幾分揺り戻される可能性をみておきたい。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
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