アパレル販売の仕事をしています。かなりの安月給なのに、自社ブランドの服を自腹で購入して着用しないといけないのがキツイです。法律的に問題はないのでしょうか?
勤務先の販売利益を生み出すには、そこで扱う商品の売り上げ拡大に努めることが大切です。そのために意識して自社商品を購入する人も少なくないでしょう。ただ、商品購入を強いられると苦痛に感じることにもなりかねません。 ここでは、アパレル販売員のケースを取り上げます。自社ブランド服の自腹購入による着用について、違法にならないかも含めて検証していきます。
いわゆる「自爆営業」が問題視されている
企業の経営や規模拡大のためには、販売利益を上げていく必要があります。自社ブランド販売に力を入れるのは言うまでもないでしょう。商品販売の最前線に立つ営業職だけでなく、社内一丸となって取り組む姿勢も重要です。このような背景もあり、ノルマを設定されることはめずらしくありません。 ただ、それを個人目標として捉えた結果、目標未達への後ろめたさから自爆営業を選ぶ人が出てくるのも事実です。特に、責任感の強い人はそのような傾向がみられます。 質問者のケースは自社ブランドを自腹購入して着用する必要があり、安給料で割に合わないため不満に思っています。勤務先に社内割引(社割)があるかどうかは不明ですが、社割を使っても出費がキツイ人も多いでしょう。自社ブランドの衣類はプライベートでも着用できるので無駄にはなりません。 しかし、必要としないものまで購入させられるのなら、お金の無駄遣いだけにとどまらず、生活自体が成り立たなくなる恐れもでてきます。自爆営業の実態を受け、内閣府は「パワハラ防止指針に位置付けるべき」だと動きだしています。
自爆営業が法律に触れる可能性も
「自爆営業」とは販売ノルマを穴埋めするために、自腹で商品やサービスを購入することをいいます。ただ、自爆営業かどうかの線引きに迷うケースも少なくありません。しかし、自爆営業だとの認識があり、強いストレスを感じるのなら、泣き寝入りしないでしっかりと向き合うことが大切です。アパレルショップでの自爆営業は以下の法律に触れる可能性があります。 自社ブランドの衣服の購入を強制された場合、「労働基準法89条第5号」(就業規則作成及び届出の義務)や「同法第24条」(賃金の支払)に抵触する可能性が大きいです。 制服代として労働者に負担させた場合は前者に、給料から天引きされた場合は後者に該当します。ノルマ設定自体は適法ですが、ノルマを課すことは違法であり「労働基準法第16条」(賠償予定の禁止)に触れるものだと認識しておきましょう。 また、経営者や上司が不要な商品の購入を強制することはパワーハラスメントとなり、「労働施策総合推進法第30条の2第1項」の違反になる可能性もでてきます。さらに、同様の行為が悪質な場合は脅迫罪となり「刑法第223条」が適用されることもあるのです。