初子の誕生を祝う町衆パワー GWの青空のもと浜松・凧揚げ合戦
さわやかな五月晴れとなった子供の日の5月5日。遠州灘の中田島砂丘では恒例の浜松まつり凧揚げ合戦が行われ、浜松市内174か町の大凧が真っ青な空に乱舞した。初子の誕生を祝って凧を揚げた「初凧」の風習が盛大な祭りへと発展したという浜松まつり。初日の3日には祝いの凧揚げが行われ、4、5日には勇壮な糸切り合戦が繰り広げられた。
中田島砂丘にある凧揚げ会場の広場上空には、無数の凧が青空に漂って壮観な光景が広がっていた。凧はデザインも大きさも様々。浜松凧と呼ばれ、正方形で真ん中から尻尾骨が出ているのが特徴だという。名前と家紋の入っている凧は、初子を祝うための凧。浜松まつりの凧揚げは初子の誕生を祝う町衆のパワーが溢れているのだ。 壮大な空の光景とは一変、広場では凧の糸を持った法被姿の男達の集団が右へ行ったり、左へ行ったりと大忙し。「午前中は風がなかったが、午後になっていい風になってきた」と糸を操っている男性。凧の糸を切りあう糸切り合戦が始まると、大声があちこちで飛び交い、手にしている糸を引く激しさが増していく。その周囲では、太鼓やラッパが鳴り響きボルテージがさらに上がっていく。興奮しすぎて本当のケンカに発展し、警察官が駆け付けて止めに入るシーンも。
凧を揚げた後は、大きな凧の前で子供を抱いた父親をメンバーみんなで囃して祝う和やかな光景も繰り広げられた。「同じ町の人たちが団結して凧を揚げるのが、この祭りの楽しいところ」と60代の男性。自身が住む町内会には凧がなく、凧揚げにも参加していないため、友人の町内会に飛び入り参加して例年祭りを楽しんでいるという。今年は174か町が参加して凧揚げ合戦が行われた。町内会ごとの法被を着こみ、旗を立ててお年寄りから子供まで老若男女が参加して、祭りが行われているという。 凧揚げ合戦が終わると、各町の屋台が夜の浜松の繁華街を練り歩く、絢爛豪華な「御殿屋台引き回し」が行われた。凧を屋根代わりにして凧揚げの道具をのせた大八車を引いたのが屋台の起源といわれるが、現在は、町ごとに豪華な装飾をほどこした屋台が繁華街を練り歩いて3日間におよぶ浜松まつりを締めくくった。