ダブルケア「支援会議」新設へ 大阪府が部署横断で独自策を検討
子育てと家族の介護が重なる「ダブルケア」を巡り、大阪府は今年度中にも、関係部局が横断的に対応する「支援会議」を新設することを決めた。各部局の専門性を生かしながら多様な課題を洗い出し、総合的な独自のケアラー支援策を検討する方針だ。 【図解・写真まとめ】育児と介護のダブルケア 負担、不安…備えるポイントは? ◇深刻な離職対策も 全ての団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる「2025年問題」が迫る中、介護が必要な人はさらに増えるとみられる。その流れに晩婚・晩産化も重なり、ダブルケアに直面する人が急速に増えている。 子育てと介護の行政サービスは別々の部門が担当しているため、双方の課題をまとめて解決する視点に欠けている。相談窓口も分かれていることが大半で、ダブルケアラーに有効な支援が行き届かず孤立を招いているとの指摘もある。 府はこうした「縦割り行政の壁」を見直し、複雑に絡み合う課題の解決策について、各部局が連携して対応する必要があると判断。年度内に新たな会議を設ける方針で、メンバーの人選や協議内容の調整を進めている。 10月の府議会で、府福祉部は「関係部局が参画する会議を新たに立ち上げ、施策のあり方を検討していく」と表明していた。自身もダブルケアに直面している藤村昌隆府議(公明党)の一般質問への答弁。 介護を巡っては、働きながら家族と向き合う「ビジネスケアラー」が急増する一方、重い負担が原因で仕事を辞める「介護離職」に歯止めがかからない。 30~40代の働く世代が中心のダブルケアラーは子育ても重なることで時間的な余裕を失い、離職のリスクがさらに高いとされる。 離職は担い手の生活困窮や孤立を招くほか、企業にとっても人材を失うのは痛手になる。支援会議はダブルケアラーの離職対策を含め、幅広いケアラーに有効な総合的な支援策を目指す方針だ。 府は21年、「ダブルケア予備軍」とも呼ばれるヤングケアラーの支援を巡り、教育や福祉など計18の部門が連携する関係課長会議を設置。早期の実態把握を目指す調査や市町村職員への情報共有・研修を積極的に進めた実績があり、市町村との広域的な連携も模索するとみられる。 府の担当者は「他都市の事例も参考にしながら、課題や情報の共有を図る。早ければ新年の1~2月に開催したい」と語った。 藤村府議は「各家庭への支援は住民に近い市町村の役割が大きいが、多くはマンパワーや専門性が足りず効果的な支援ができていない。府がどのようにサポートできるのかが重要だ」と指摘した。【井手千夏】