ボクシング女子の性別騒動で「公平性」が議論に 医師「『Y染色体があるから筋肉が多い』は違う」“性分化疾患”への理解と誤った認識どう正す?
■割れる出場可否の判断
ハリフ選手をめぐっては、大会を管轄する団体によって出場可否の判断が割れてきた。アルジェリア五輪委員会によると、「選手村に到着した時点で、あらゆる検査を受けている。妊娠検査まで受けた」。昨年の世界選手権は出場不可になったが、当時IBA(国際ボクシング協会)はテストステロン濃度が高いことを理由にDSD陽性と判定した。一方でIOCの医療責任者は、ボクシング選手のテストステロン濃度が高いのは、“普通のこと”だと判断しているという。 染色体によって、身体能力に違いが出てくるのか。堀川氏は「『Y染色体があるから筋肉が多い』といった考えは違う」とした上で、「筋力の付き方や、筋肉の質は、男性ホルモンの分泌量や、その他の男性ホルモンがどれだけ働くかによる」と説明。 欧米では、性分化疾患を「個体の差」であり、「個性」とする価値観も多いという。堀川氏は「ホルモンの多い、少ないと同じように、『たまたま染色体にYが存在していただけ』と考えた方がいい。もちろんY染色体が影響するものもあるため、そこは医学的に判断すればよい」と続けた。
■「男が女を殴ってるわけでドーピングより重大な違反」間違った認識をしているネットの声
今回の試合をめぐって、Xでは「トランス男性が女性選手を殴る時代!?」「女子とはいえ、XX染色体の人と同じ大会に出していいのかという問題」「多様性という“偽善”が、女性の権利を奪った」「実質的に男が女を殴ってるわけでドーピングより重大な違反」「男、女、トランス枠にしたらいいじゃん」といった意見が出ている。
こうした反応に、WBC女子世界フライ級元チャンピオンで、2017年に性別適合手術を受け、現在は男性としてボクシングジム経営などを行っている真道ゴー氏は「トランスジェンダーと性分化疾患は、まったく別の問題だ」と反論し、「染色体がXXではないだけで、一生懸命トレーニングしてきた人が、無知な人たちから『男が女として戦っている』と誹謗中傷を受けるのは本当に悲しい」と話す。