「散らかった家の中」どこから手をつければ…。片付けのプロが「まずはキッチンから」と断言するワケ
(2)キッチン内の動線をコンパクトにする
モノを厳選したら、収納するときに「使いやすい場所」を考えてみてください。 スープを作っているとき、鍋があるコンロの場所から遠い食器棚の引き出しまでおたまを取りに行っている、というようなことはありませんか? この場合、できれば足を動かさずに、サッとワンアクションで手に取れるような場所におたまの定位置をつくることが理想的です。「おたまはずっとここに入れていたから、ここにあるべき」という固定観念を取り払い、自由に便利な場所を探してみましょう。 「家庭力アッププロジェクト®」の受講生で、「鍋とフライパンはコンロ下に収納するべき」とずっと思い込んでいた人がいます。でも、鍋には水を入れることが多いからと、鍋だけシンク下に移動したそうです。すると、今まで「コンロ下から鍋を取る→シンクに行って水を入れる→コンロに戻る」という動線が、「シンク下から鍋を取って水を入れる→コンロに移動」に変わりました。これだけでも動きが小さくスムーズになったといいます。料理をするときにバタバタと動き回っている人は、コンパクトに動けることを考えると、適した収納場所が見えてくるかもしれません。
(3)家族の目線で出しやすく、戻しやすいような工夫をする
「キッチンにいる時間が長いのはママ」という家庭が多いかもしれませんが、ママ以外もいろいろな用事があって家族みんながキッチンを使います。誰かが「喉が渇いた」となれば、キッチンに入ってコップを取り出し、冷蔵庫から飲み物を出しますよね。もしママだけがコップや飲み物のある場所を知っていたとしたら、どうでしょう? すぐに水を飲めない家族も困るし、「ママ、コップどこ?」「お水ちょうだい」と言われて対応するママも大変です。 キッチンにあるモノの収納は、誰にとってもわかりやすくて元に戻しやすいということが理想です。あちこち探し回らなくてすむように、収納してあるモノの名前を書いて貼っておく「ラベリング」などを活用しましょう。小さなお子さんには、モノのイラストを描いてあげるといいかもしれません。使いたいモノをすぐ出して、使い終わったらすぐ戻せる。これがパッとできれば、キッチンが散らかることはなくなります。 また、使う人の目線も大切。一般的に、立った状態で腰の位置から目の高さあたりまでを片づけの「ゴールデンゾーン」と呼んでいます。この部分にあるモノは見やすくて扱いやすいからです。子どもの食器は子どものゴールデンゾーンに合わせて収納すると、自分だけで出したり片づけたりをしやすくなります。自分でモノの管理ができるようになれば、成長にもつながってママの負担も減ります。家族それぞれのゴールデンゾーンを意識してみてください。
【PROFILE】西崎彩智
1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト(R)」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等の全国の教育施設にて講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。