ダボス会議の開幕でプライベートジェット1040機が発着、このCO2排出量は自動車35万台分、温暖化の議論とつじつま合わずと批判の声
SAFへの疑問視
航空業界は持続可能な航空燃料(SAF)により、2050年までにCO2排出量の実質ゼロを達成できると説明している。国際航空運送協会(IATA)によると、持続可能燃料は従来の燃料と比べてライフサイクル(原料の栽培、収穫、製造、輸送等全ての段階)における排出量を最大80%削減できる。また、エア・カナダやユナイテッド航空などは短距離路線に特化した電動航空機を購入している。 しかし、環境保護団体は、持続可能燃料の利用増加に伴い、パーム油や大豆油などバイオエネルギー作物を栽培するために広大な土地で樹木の伐採が進み、森林破壊が起きる恐れがあると指摘する。 持続可能な燃料の本格的な普及にどの程度の時間を要するかも疑問視されている。国際エネルギー機関(IEA)によると、2021年時点で航空燃料に占める持続可能燃料の割合は0.1%未満だった。 T&Eのデニース・オークレア氏は「持続可能な燃料では進むべき脱炭素化の道を切り開くことはできないと認めざるを得ない」と話す。今後、10年間に排出削減を加速させるためには、本当に必要なフライトの洗い出しを含め、さまざまな対策を組み合わせる必要があると話す。 一方、欧州各国はプライベートジェットの運航を減らし、よりクリーンな交通手段の利用を奨励する策の検討に乗り出している。フランスは昨年12月、鉄道利用で2時間半以内で移動できる短距離航空路線の運航を禁止する措置について、欧州委員会から承認を受けた。ベルギーは4月からプライベートジェットと短距離フライトに新たな税金を課す予定だ。 オークレア氏によるとこうした課税措置は航空機の利用を減らすインセンティブになると同時に、持続可能な航空事業の開発を加速させるための資金の確保にもつながるという。 ※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が編集・転載しました。
トラベルボイス編集部