「ブラジルのトランプ派」大暴れ、大統領選の不正主張し首都占拠 米議会の襲撃ほうふつ、クーデターの狙いも?…記者が見た「分断」の現場
現場に着いた時には、先に着いた支持者が建物のガラスを割り既に侵入していた。破壊行為に驚いた男性は建物には入らず、芝生で祈っていた高齢者の輪に加わっていた。奇妙な光景も目にした。警官が雑談していたり「俺たちも仲間だ」と支援者らに叫んだりしていた。 男性は拘束後、持病などを理由に釈放されたが、居場所の把握を可能にする「電子足輪」をつけられ、行動が制限されている。それでも「考えは変わらない」という。ブラジルの選挙の電子投票システムに疑問を呈し「大統領選の不正は明白だ。戦いをやめない」と主張した。 ▽トランプ陣営の影? トランプ氏の事件を彷彿とさせる今回の襲撃に際し、「ブラジルのトランプ」と呼ばれるボルソナロ氏の周辺がトランプ派に接触して影響を受けていたとの情報もある。 ボルソナロ氏は大統領選の1年以上前から電子投票システムに不正があると繰り返してきた。それは自身が敗北した場合には結果を認めない、と布石を打っているかのようだった。陣営はトランプ氏の側近と情報交換し、選挙結果発表後の対応について助言を受けていた可能性があるという。
米紙ワシントン・ポストによると、昨年10月の大統領選の後に、ボルソナロ氏の3男で下院議員のエドゥアルド氏がトランプ氏のフロリダ州の邸宅を訪れて面会。トランプ氏の側近と連絡を取っており、トランプ氏の元首席戦略官、バノン氏とは選挙結果への異議申し立ての効力に関しても協議していた。 襲撃の映像が流れ始めた1月8日に、バノン氏は「ルラは選挙結果を盗んだ。ブラジル人は理解している」などとソーシャルメディアであおるような投稿を繰り返し、暴徒を「自由の戦士」と称賛した。 ▽ボルソナロ氏の関与 ボルソナロ氏は関与していたのだろうか。ボルソナロ氏は自身の任期を2日残した昨年12月30日、空軍機でブラジルを出て米フロリダ州に渡った。1月1日のルラ大統領就任式で、懸章をルラ氏の肩にかける伝統的な役割を担うことを嫌ったとみられていた。 襲撃の日、ボルソナロ氏は「平和的な、法に則したデモは民主主義の一部だ」とする一方で、破壊や侵入を伴うものは「法から外れている」とツイッターに書き込んだ。