昨年亡くなった母は年金受給の「申請」をしていなかったようです。代わりに私が「未請求分」を受け取れますか?
年金を受け取っている方が亡くなると、遺族は受け取る予定だった年金を代わりに未支給年金として受給できる可能性があります。しかし、年金の受給権を有している方のなかには、さまざまな理由で年金を受給していない方もいるでしょう。 今回は、年金の受給権があるものの受け取らないまま亡くなったときの年金の扱いや、未支給年金の申請方法などについてご紹介します。 ▼年金機構から「差し押さえ」の手紙が届いた! 口座残高「ゼロ円」で差し押さえる財産がなければ大丈夫?
年金を受け取らずに亡くなったときの年金の扱い
年金を受け取る権利を有する方が亡くなると、本来受け取れるはずだった年金を、請求に基づいて一定範囲の遺族が受け取れるケースがあります。「未支給年金」と呼ばれ、亡くなった月の分までの年金を受給可能です。厚生労働省によれば、受け取れる遺族は以下の通りで、数字の順番が受け取れる優先順位です。 1 配偶者 2 子ども 3 両親 4 孫 5 祖父母 6 兄弟姉妹 7 上記のいずれにも該当しない3親等以内の親族 受け取る遺族に年齢制限はありません。ただし、受け取るためには「生計を同じくしていた」必要があります。また、未支給年金には時効が設定されており、5年以上経過した年金に関しては受け取れません。 ■配偶者または子どもが受け取る場合の条件 生計を同じくしているとは「同一生計」とも呼ばれます。厚生労働省の「未支給年金お手続きガイド」によると、未支給年金において配偶者または子どもが本人と生計を同じくしていると認められる条件は以下の通りです。それぞれの条件はいずれかに該当していれば問題ありません。 ・本人の死亡日時点で住民票上同じ世帯に属していた ・本人の死亡日時点で住民票の世帯は異なるものの住所は住民票上同じだった ・本人の死亡日時点で住民票の住所も異なっていたものの起居を共にし、消費生活上の家計を同じくしていたと認められる ・単身赴任や就学といったやむを得ない理由で、本人の死亡日時点で住民票の住所が異なっていたもののその理由がなくなれば生活を共にしていたと認められる状態で、別居中も以下2つのような事実があったと認められる 1 本人から配偶者や子どもに対して、もしくは配偶者や子どもから本人に対して経済的援助があった 2 お互いの間で定期的に音信や訪問があった 例えば、夫婦関係であっても別居をしており経済的援助などもお互いにしていなかった場合は、未支給年金を受け取れない可能性があります。 ■ほかの親族が受け取る場合の条件 配偶者や子ども以外が受け取る条件は以下の通りです ・本人の死亡日時点で住民票上同じ世帯に属していた ・本人の死亡日時点で住民票の世帯は異なるものの住所は住民票上同じだった ・本人の死亡日時点で住民票の住所も異なっていたものの起居を共にし、消費生活上の家計を同じくしていたと認められる ・本人の死亡日時点で住民票の住所が異なるもののどちらかがもう一方に対して経済的援助が行われていたと認められる 条件のいずれかに該当していれば、受給対象になります。