「99.5%の真空技術」でフードロスをなくす。インターホールディングス代表 成井五久実インタビュー
2回目の起業は社会のため
──では、2回目となる今回の起業について教えてください。 1回目に起業した時は「起業家として自分の存在感を示したい」という、自分主体の動機も多分にあったと思います。 しかし仕事だけでなく、さまざまな人間的経験を積み、ライフステージも進むにつれ、意識が変化しはじめました。視点が「自分」から「社会」に移ったんです。 起業家として次のステップに進むためにも、「社会課題を解決して、価値を世の中に還元できる事業をつくりたい。社会のために大きなことを成せる起業家になりたい」と弊社に参画しました。 ──御社の事業について、具体的に教えてください。 宇宙ロケットにも採用されている、独自の真空技術を用いた長期保存可能な容器を開発しています。この技術は世界で唯一、真空率99.5%を実現できる特許技術。 この技術の何よりも優れているポイントは、「構造がシンプル」だということ。この弁とポンプがあれば、世界中どんな人でも真空状態をつくることができる。 これによりもっと手軽に食品の長期保存が可能になり、フードロス問題が改善。さらに従来のペットボトルなどの容器に比べて、流通時に発生するCO2も大幅に削減することができます。 さらに真空パックならではの、「鮮度を保ったまま量り売り」が小売店でもできるのです。
──具体的にはどのような食品や飲料に使えますか? 液体はほぼ適用可能で、推奨しているのは鮮度が大切なワイン・ジュースなど。今後は赤ちゃんのミルクなどにも使っていきたいですね。 固形物だとお米やコーヒー豆などに使えます。ポンプを引くだけで真空状態になり、賞味期限が格段に伸びるので、防災の備蓄にも最適です。 食品以外に現在、物流業界での活用も提案中です。というのも、真空パックの中に発泡スチロールの粒子を入れて固めると、電子機器などを運ぶ際の緩衝材になるんです。 真空の発泡スチロールは繰り返し使えるうえに、衝撃に強い。衝撃耐性は通常の発泡スチロールの1/2という検証結果があるほどです。この「何度も繰り返し使える発泡スチロール」で、CO2を出さない「エコ物流」への参入を予定しています。