「首相は全くもって正しい」選択的夫婦別姓「立公共闘」で導入迫る 参院代表質問
立憲民主党と公明党は4日の参院代表質問で、そろって選択的夫婦別姓制度の導入を石破茂首相(自民党総裁)に迫った。自民内の慎重派への配慮から首相は踏み込んだ答弁は避けたが、来年の通常国会に向け両党からの圧力はさらに強まりそうだ。 選択的夫婦別姓制度に対し、立民と公明はいずれも推進の立場を取る。一方、自民内では保守系議員らに慎重論が根強く、党としての見解は定まっていない。 局面を動かしたのは先の衆院選だ。大幅に議席を積み増した立民が、関連法案の審議が見込まれる衆院法務委員会の委員長ポストを獲得し、議論の主導権を握る可能性が高まった。 この状況を奇貨として、公明は自民への要求のトーンを強めつつある。公明の西田実仁幹事長は3日、自民の森山裕幹事長との会談で、制度導入に向け党内議論を進めるよう促した。 4日の代表質問では、立民の打越さく良参院議員が、自民に対する公明からの働きかけを念頭に、制度導入のための法案を「閣法(政府提出法案)として提出してはどうか」と首相に迫った。また、選択的夫婦別姓に理解を示した首相の過去の発言を「全くもって正しい」と持ち上げた。 しかし、首相は「議論の動向を注視しながら総合的に検討する必要がある」と述べるにとどめ、正面から答えることは避けた。 公明の竹谷とし子代表代行は「選択的夫婦別姓制度は、別姓を希望する人に新たな選択肢を示す」と主張し、「多様性の尊重を求める時代の要請にかなう。早期導入について決意をうかがう」と質問した。 これに対し首相は、内閣府の世論調査の結果に言及して「国民の意見が分かれている」と説明し、「国会において建設的な議論が行われ、より幅広い国民の理解が形成されることが重要だ」とかわした。 かたや野党第一党の立民、こなた連立政権のパートナーである公明─。少数与党を率いる首相にとってはいずれも無視できない存在であり、両党による「挟撃」が痛手になっていることは明らかだ。 立民閣僚経験者は「与党である公明からの突き上げには期待できる。自民を揺さぶる好機だ」と読む。一方、導入慎重派の自民幹部は、関連法案の審議入りを見据えて「熟議を求め、子供の視点を踏まえることで対抗していくべきだ」と語った。(松本学)