「一つの欧州」終わりの始まりになるか? 英国でEU国民投票
EU(欧州連合)からの離脱の賛否を問う国民投票がイギリスで23日に実施されます。投票結果は遅くても翌日には発表される予定で、イギリスがEUから離脱してしまう可能性も夢物語ではなくなった現在、離脱がヨーロッパにドミノ現象を与えるきっかけとなる可能性は高い。すでにヨーロッパ全体でもEUの役割に懐疑的な人が増える中、1つのヨーロッパという理想的な共同体の終焉もささやかれ始めた。 【写真】英国のEU離脱問題「ブレキジット(Brexit)」、英国は何が不満なの?
残留派コックス議員殺害事件 英国世論に影響か
イギリスが二つに割れています。EUに残留するべきか、もしくはEUと袂を分かつべきか。答えの出ない議論が長く続けられてきました。「残留派」と「離脱派」。どちらの言い分にも一理ありますが、離脱派の主張のベースとなっているのは現在のEUの制度がイギリス国内の経済や雇用にプラスの影響を与えていないというものです。 残留派のキャメロン首相は、イギリスにやってくる移民の数を年間10万人程度に制限するというプランを打ち出しましたが、現在イギリスにやってくる移民は年間36万人近くに達しており(EU件加盟国出身者と非加盟国出身者が、それぞれ約18万人程度)、移民に雇用を奪われていると考えるイギリス人は少なくありません。 残留か離脱かをめぐる議論が沸騰し、国民投票まで残り1週間となった16日の午後、イギリス中部のリーズ近郊でEU残留を訴える下院議員のジョー・コックスさんが地元の有権者らと対話中に殺害されるというショッキングな事件が発生しました。容疑者として逮捕された男性は精神疾患で医療施設への通院歴もあったと報道されていますが、イギリスや南アフリカ、アメリカの極右組織とのつながりも指摘されています。コックスさんは難民の受け入れにも積極的な姿勢を示していましたが、殺害の動機には依然として不明な点が多く残されたままです。 コックスさんの死が世論に影響を与えたのでしょうか。18日には最新の支持率調査の結果が公表され、複数の調査で残留派が離脱派を数ポイントリードする状況となっています。