センバツ2022 2回戦 広陵魂貫く 最後まで全力、成長誓う /広島
第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第6日の24日、広陵は2回戦で九州国際大付(福岡)と対戦し1―4で敗れた。4強入りした2010年以来となる準々決勝進出を逃した。先制し、先発森山は七回まで2失点と踏ん張ったが、打線が持ち前のつながりを発揮できなかった。リードを許す苦しい展開でも全力プレーを見せた選手たちに、アルプススタンドからは温かい拍手が送られた。【根本佳奈、小宅洋介、小林遥】 幸先良く先制するも、相手左腕エース香西のテンポ良くコーナーを突く投球に打線が沈黙した。 一回、俊足の中川が先頭打者の役目を存分に果たして先制点をもぎ取った。高めの球をとらえ中前打で出塁すると、松下の犠打で進塁。「自信はあった」と言い、2死二塁から果敢に三盗を狙ってスタートを切り、相手のミスもあって一気に先制のホームを踏んだ。母京子さん(46)は「足で稼いでくれてうれしい」と喜んだ。 だが、エース右腕森山は毎回走者を背負い、苦しい投球を強いられた。 逆転された後の四、五回は走者を三塁に背負う。リードする大山は「あせらず自分のテンポで投げよう」と声をかけた。七回には1死一塁から併殺打にしとめ、森山はガッツポーズ。意地を見せ、なんとか追加点のピンチをしのいだ。代打を送られ交代すると、2番手松林に「後は任せた」と声をかけ、打線の反撃を待った。 突き放された後の八回の攻撃。内海の中前打に続き「絶対打ってやろう」と打席に入った真鍋の連打で2死一、三塁の好機を作ったが生かせず。九回はこの日3安打の大山が最後の打者となった。 「低めの球の見極めが徹底できなかった」と内海が振り返った打線は11三振。真鍋は「すごく悔しい。対応力をつけ絶対にチームに貢献できる打者になりたい」と成長を誓った。 チアリーディングで試合終了までエールを送り続けた益田美里さん(17)は「夏も甲子園で応援したい」と選手たちに拍手を送った。 ◇動画練習の成果 ○…アルプス席に陣取った約700人は、「KORYO」のえんじ色のタオルを掲げて左右に動かす「チアソング」、スティックバルーンを振る「サウスポー」など、吹奏楽部が演奏するテーマ曲に乗って息の合った応援を披露した=写真。応援の振り付けの解説動画は、木村一翔(いっと)応援団長(17)ら硬式野球部員が約8分にまとめて事前に公開。動画を見た児島駿さん(17)は「とても分かりやすかった」といい、声を出す応援に制限がある中、懸命にバルーンを振ってエールを送っていた。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇「俺らが守る」声で鼓舞 川瀬虎太朗主将(3年) チームをまとめる主将として試合終了まで声を張り上げ、選手たちを引っ張った。五回2死二、三塁の場面は、遊撃の位置からマウンドの森山に「俺らが守るからしっかり笑顔で楽しんで投げろ」とリーダーらしい一言でチームメートを落ち着かせた。 打席では2三振と振るわず、七回に代打を送られてベンチに下がった。悔しさもあったが「自分は主将だ」と役割に徹した。リードを許す苦しい展開でも「まだまだ、自分たちがやってきたことを出すぞ」とベンチから鼓舞した。 「日本一」を目指した大会で、力不足も感じた。「打者も投手もしっかり競争して、甲子園に戻って来られるように頑張りたい」と夏を見据えた。