「おいしい」が応募条件! 名古屋発『おいしい映画祭』って?
コロカルニュース
「おいしい」をキーワードに、学生と一般の2部門で映像作品を公募し、そのなかから各入賞5作品と招待作品を上映する『おいしい映画祭』が、2024年11月30日(土)、12月1日(日)の2日間、名古屋にある映画館〈ミッドランドスクエアシネマ2〉で開催されます。 【写真で見る】学生部門入選の安川明里監督作品『曇り味噌』。 今年で3回目を迎えるこの映画祭を立ち上げたのは、東海圏を中心に活躍する映画パーソナリティーであり、コーディネーターの松岡ひとみさん。コロナ禍において活動が制約されてしまった映像クリエイターや来場者が激減してしまった映画館を支援したいとの思いから、始められたそうです。 ■「おいしい」は映像作品のスパイス? どんな映画にも登場する食事シーン 映像製作に関しての条件はひとつ。「おいしい」を映画のなかに取り入れた、5分から30分以内の短編映画作品であること。その理由を松岡さんはこう語ります。 「映画には、必ずといっていいほど、食事のシーンが登場します。監督たちとも話すのですが、群像劇や家族の映画に食べ物が出てくると、個々のキャラクターや家族関係が、一発で映し出されます。お父さんはごはんを食べ、娘はパンを食べる。それだけでも家族の状況がわかったり。それがおもしろいなと。それに食べるって、生きることにつながっているし、主人公の食べる姿は見ていて元気になります。私自身も食べることが大好きで、「おいしい」をテーマにした映画のコラムなどを書いていたこともあり、これをキーワードに映像作品を製作してもらおうと考えました」 初年度の応募作品には、名古屋メシで有名な「天むす」や「ひつまぶし」を取り入れた映画の応募が多かったのだとか。名古屋メシの魅力を伝えることにも一役買っているようです。 ■150作品以上が全国から。2024年も入賞作品は個性派ぞろい 東海圏を中心にスタートした『おいしい映画祭』ですが、今や全国から150作品を超える応募があり、うれしい悲鳴を上げる映画祭スタッフ。映像編集が手軽にできるようになったほか、スマホで撮影する縦型動画などもあり、時代の変化とともに映像形態が多様化する一方で、自分の家族や身近な人をテーマとしたドキュメンタリー映画も増えているそうです。 「学生の作品は、この時代にしか撮れないものも多く、社会に忖度せず、自由にテーマを選んでいるのもおもしろいです。一般の部には、プロを目指している人も応募してきますが、この映画祭をきっかけに代理店から声がかかったり、商業映画が撮れるようになるなどの動きも出てきています」と松岡さん。 ■映画祭をきっかけに商業映画デビューを果たした監督も! 今回の招待作品のひとつ『台湾ラーメンリハーサル』は、2023年の『おいしい映画祭』でグランプリを受賞した山口晃三郎監督の作品です。 これは名古屋にあるプロダクション、サンミュージック名古屋から、山口監督に、事務所の俳優を使って映画を撮ってほしいとオファーがあり、実現したものだとか。「名古屋の俳優が出演する映画なら、名古屋メシでやりたいと思っていたところ、名古屋の老舗中華料理店〈矢場味仙〉がスポンサーになってくださることに。映画祭を通じて、名古屋の企業がスポンサーとなり、映像クリエイターを育て、その映画をまた『おいしい映画祭』で上映できる、そんな循環が生まれています」