『源氏物語』人で溢れる賀茂の祭で源氏の正妻・葵の上と愛人・六条御息所が激突!恥をかかせられた御息所の魂は深く傷つき…
◆取り返しのつかない恥 源氏の正妻と愛人が祭の場で出会い、騒乱となったのですが、源氏は何も知りません。 葵の上の従者のなかには、源氏の従者もいましたが、六条御息所を気の毒に思うものの、仲裁に入るのも面倒なので黙ってしまいます。 この乱闘は、正妻葵の上、愛人六条御息所、それぞれの従者が、主人の代理として張り合ったために起きてしまった事件でした。 奥に押し込められ、帰ることもできない六条御息所は、しかし「源氏さまがお通りになるぞ」と言う声に、恨めしいと思いつつも、自然にその行列が待たれてしまうのでした。 こうして取り返しのつかない恥をかかせられたことにより、高いプライドと源氏への愛に揺れる御息所の魂は、深く傷つくことになりました。 ※本稿は、『美しい原文で読む-源氏物語の恋のことば100』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
松井健児
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