70代の父、危篤…母&兄はずっと2人で相続相談、弟はひとり蚊帳の外「この状況、納得できません」「相続について教えてください」→税理士が助言
相続税の計算プロセス
相続税の計算は4つのステップで行います。まず、(1)財産評価を行い、課税価格の合計額を算出します。(2)次に、基礎控除を差し引いて課税遺産額を算出し、(3)それを法定相続分で分割したと仮定して相続税合計を算出します。(4)最後に、その合計額を各相続人の取得割合に応じて配分し、税額控除の特例などを計算したうえで個々の納付税額を決定します。
税額控除と申告納付
先ほども少し触れましたが、配偶者による相続財産の取得には税額控除の特例があり、配偶者が取得する相続財産が1億6,000万円以下、または法定相続分相当額以下であれば相続税が免除されます。これは同一世代間の財産移転を考慮した税制の軽減措置です。この特例により、配偶者は法定相続分までの課税価格に対しては相続税がかからず、法定相続分を超える場合でも1億6,000万円までなら相続税は免除されます。 この特例を適用すれば、配偶者は、課税価格が法定相続分までであれば、相続税は課されません。それを超えたとしても、1億6,000万円までの課税価格であれば、相続税は課されません。
相続税の申告と納付
相続税申告の期限は、相続開始を知った翌日から10か月以内で、提出先は被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署となります。
贈与税
贈与税には、暦年課税制度と相続時精算課税制度という2つの主要な制度が存在します。暦年課税制度の下では、1年間に受けた総贈与額から110万円の基礎控除を差し引いた額に対して税率が適用されます。この税率は超過累進税率であり、贈与の性質に応じて特例贈与財産と一般贈与財産の区分があります。 一方、相続時精算課税制度では、相続財産と生前に受けた贈与を一緒に計算し、既に支払った贈与税を控除する方式です。60歳以上の祖父母や親から18歳以上の子や孫への贈与に関しては、110万円の基礎控除と2,500万円までの特別控除が適用され、それを超える金額には20%の税率が適用されます。
不動産の相続税評価
宅地は、建物の敷地として利用されている土地のことで、1画地ごとに評価されます。 路線価とは、路線に面する標準的な宅地1m2あたりの価額をいいます。 小規模宅地等の特例では、特定の条件を満たす土地の評価額から一定割合を減額して相続税の課税価格を計算します。これには特定居住用宅地、特定事業用宅地、特定同族会社事業用宅地、貸付事業用宅地があり、減額割合と減額対象地積が定められています。 岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
岸田 康雄