【財政破綻国家スリランカを歩く(第6回)】かつて輸出量世界一“セイロン・コーヒー”のルネッサンス
コーヒー復活にかける高邁な理念『150年の時を超え蘇る世界一の珈琲』
紹介されたコーヒーショップでスリランカ産コーヒー豆を淹れたコーヒーを頂いた。町の食堂のコーヒーと異なり久しぶりにコーヒーの豊潤な香りと旨さを満喫。従業員は若い女性が5人。英語が上手くて気が利いている。 日本語のパンフレットには『150年の時を超え蘇る世界一の珈琲』とある。経営理念に『セイロン・コーヒー・ルネッサンス、女性力開花』と。コーヒー産業復活により農村女性への就業機会の提供、コーヒーショップ展開を通じてバリスタとして経営できる女性人材育成を目指している。 ショップに置いてあった資料によると、国際的なコーヒー豆供給不足と価格高騰を受けて日米欧の大手業者がセイロン・コーヒー復活の支援をしているようだ。キャンディーでは2009年からコーヒーの木の植樹支援プロジェクトが始まり、ヌワラ・エリア地方のコトマレでは共同出資のパイロットファームが運営されているようだ。
高邁な理念で思い出したネパールの有機栽培コーヒー
セイロン・コーヒー復活の想いのこもったパンフレットを見ていたら、7年前のネパールのカフェを思い出した。ネパールのポカラ湖畔の見晴らしの良い高台で、カフェとゲストハウスを経営していたK氏。ネパールも気候的にコーヒー栽培に適しており、日本はじめ外国のコーヒー会社が支援して近年有機栽培コーヒーとして先進国市場に輸出されている。“ヒマラヤ・コーヒー”というブランドを確立しつつある。 K氏は世話になったネパールに恩返ししようと、貧しい子どもたちをゲストハウスの空いた部屋に住まわせて学校に通わせていた。ネパールには学校に行けない子どもが沢山いるのだ。そして放課後は、ゲストハウスの手伝いとカフェの手伝いをさせる。将来ゲストハウスのマネージャーやバリスタになれるように教育していたのだ。貧困対策の一丁目一番地は教育と職業訓練ですと語っていたK氏の情熱を思い出した。
コーヒー栽培農園はどこに
ヌワラ・エリア逗留中にコーヒー栽培パイロットファームへの訪問を検討したが、宿からローカルバスで4時間、さらにバス停から十数キロの山中なので断念。宿で聞くと意外にも歩いて行ける至近距離にコーヒー農園があるという。携帯電話番号に電話するとオーナー自身が出てきて手術のためコロンボに滞在しており、不在中は農園を閉めているとのこと。入院中のオーナーに無理やり頼んで近隣の他のコーヒー農園の支配人を紹介してもらった。 グーグルマップでチェックすると宿から30キロくらいだ。ローカルバスを2回乗り換えて3時間。渓流を上り切ったところにある山奥の村に到着。さらに三輪車タクシーで紅茶畑の広がる悪路の山道を30分上り頂上の作業小屋へ。支配人は小さな製茶工場で待っていた。