MLB決断のワンポイント登板禁止ルールを日本は採用すべきか?
メジャーリーグが2020年から投手は最低打者3人に投げるか、或いはイニングの終了まで投げ切るまで交代できないという新ルールを採用することが決まった。メジャー機構と選手会の協議で決定したもので小刻み継投で起きる時間のロスを防ぎ、試合時間を短縮することが狙いで、先発も含め投手は怪我や病気などのアクシデントを除き、最低3人の打者に投げるか、イニングが終了するまで交代できない。 「左対左」などのワンポイント起用が難しくなるルール変更だが、米国でもさっそく「野球の戦術的な面白みが欠ける」「左のワンポイント投手は職を失う」「トニー・ラルーサ監督がやった3つのアウトを3人の投手で取るという野球を我慢してみる必要がなくなった」など、賛否が起きている。過去にコリジョンルール、申告敬遠、チャレンジ制度(リクエスト)など、メジャーのルール変更にほとんど追随してきた日本のプロ野球は、またこのルールを受け入れることになるのだろうか。果たして、それは日本のプロ野球、ファンにとって正しい選択なのだろうか。 論客として知られる元千葉ロッテの里崎智也氏は、「日本でも導入されるか、されないか、という点で言えば、おそらくされるでしょう」と推測する。 「野球にはサッカーのFIFAのような権威のある世界規模での統括組織がありません。メジャーリーグを頂点にヒエラルキーができていて国際大会としてはWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が最高峰です。ここまでメジャーで変更されたルールはWBCでも採用される流れができています。WBCで日本が勝つためには、メジャーのルール変更に従い、日本でも取り入れるしかないのです。ただ個人的には、今回の“最低3人に投げなければならない”というルール変更の理由が試合時間の短縮であればナンセンスだという意見です。確かに投手交代には一番時間を要します。でも日本ではメジャーと違って完投の試合も少なくありません。申告敬遠の採用で、どれくらい時間が短縮しましたか? 試合時間短縮が目的ならば、野球のルール以外で、例えばグラウンド整備の時間の短縮や、イニング間イベントを省くなど、いくらでも効果的な方法はあるのです」 里崎氏はルール変更に至った目的に関して異議を唱えた。 では、このルール採用で野球は大きく変わるのか。 里崎氏も「左のワンポイント起用が難しくなるので、右打者を抑えることのできない左腕の中継ぎの職は失われるかもしれませんね。また右投手も、左打者対策のできないサイドハンドの中継ぎの立場は苦しくなります。中継ぎ投手に求められる役割とブルペンのメンバー編成が多少変わってくる可能性もあります」と指摘する。