南半球の陽光が育んだ個性派ワインを厳選──ニュージーランド産ワイン5選
ニュージーランドワインの世界的評価が高まっている。国際的なワインコンペティションでの受賞や有力ワイン評論誌でもランキングし続けるなど、国際市場で存在感を示している。多彩なニュージーランド産ワインの代表作を厳選して紹介しよう。 【写真を見る】それぞれのプライスをチェック!
風土が織りなすユニークな味わい
海に囲まれた島国ニュージーランドは、冷涼な海洋性気候と豊かな日照時間が織りなす独特のテロワールを持つ。鮮明な酸味と豊かな果実味をもたらす土地は、ワイン造りに理想的な環境であるとして、長年、ワイン愛好家たちから指示を得ている。 また近年、ニュージーランドのワイン産業は新たな転換期を迎えている。サステナブルな農法の採用や新たな醸造技術の導入により、品質がさらに向上。“鮮やかな果実味と凝縮感”が売りだった味わいに、洗練さが加わった。環境への配慮と品質の追求が、結果としてニュージーランドワインの新たな魅力となり、世界のワイン愛好家たちを魅了し続ける要因となっている。注目のワインを5本紹介する。 ■1. RIPPON "RIPPON" MATURE VINE PINOT NOIR ワナカ湖のロイズ湾西岸に広がるリッポン・ヴィンヤードは、北向きの急斜面に位置し、氷河の堆積物である端堆石と粗い砂利が交わる独特の地形を形成している。その地下には片岩が広がり、この地域でもっとも早くブドウが植えられた歴史ある畑のひとつでもある。 「リッポン」は、この特別な区画で育つ完全に成熟したピノ・ノワールの樹から造られるワインだ。セントラル・オタゴ特有の凝縮した果実味と、ミネラル感豊かな風味が重なる複雑で深みのある味わいが特徴だ。赤い果実や黒い果実の香りに、かすかなスパイスのニュアンスが加わり、エレガントかつ力強さもある。 URL:https://rippon.co.nz/ ■2. GREYWACKE WILD SAUVIGNON 「グレイワッキ・ワイルド・ソーヴィニヨン」は、その名の通り野生酵母を用いた醸造法で造られている。まず、新鮮なライムやグレープフルーツの柑橘系の香りが鼻腔をくすぐり、続いて白桃やネクタリンの熟した果実の香りが広がる。さらに、野生酵母由来のほのかなパン生地やヘーゼルナッツの香りが加わる。 口に含むと、マールボロ地方の特徴的な土壌を反映した味わいが広がる。レモンやライムの爽やかな酸味が舌先を刺激し、続いて熟した桃やパッションフルーツの甘みが感じられる。シーフードや白身肉料理、クリーミーなチーズのほか、幅広い料理と楽しむことができる白ワインだ。 URL:https://greywacke.com/ ■3. FIELD OF FIRE CHARDONNAY 「FIELD OF FIRE CHARDONNAY」は、南島のマールボロ地方にあるピラミッド・ヴァレーから生まれた、自然派ワインだ。 2000年から2002年にかけて植樹されたブドウはビオディナミ農法で栽培。醸造過程では、足踏みによる破砕と全房圧搾が行われる。古いフレンチオーク樽で自然酵母による発酵を進めたのち、ステンレスタンクで6カ月間、軽い澱とともに熟成させ、清澄や濾過を行わずにボトリングされた。 最初に感じるのは、熟した黄色い果実と焼けたパンの香り。次第に、レモンやメロン、白い花の香りが広がっていく。口に含むと、暖かい気候の影響を受けた豊かな果実味と爽やかな酸味の味わいと、グリルしたヘーゼルナッツやトーストの風味が加わる。 URL:https://www.pyramidvalley.co.nz/ ■5. NAUTLIUS VINTAGE ROSÈ 「ノーティラス・ヴィンテージ・ロゼ」は、マールボロ地方の熟練したワインメーカーたちが手掛ける、100%ピノ・ノワールのスパークリングワイン。 味わいは淡いサーモンピンクの色調に、繊細でクリーミーな泡立ち。赤い果実の香りをベースに、桃やバラの花びらのフローラルな香り、そしてかすかなスパイスの香りが重なり合う。口に含むと、ピノ・ノワール由来の深みと重みを感じつつ、長期間の酵母との接触から生まれるブリオッシュのような風味と滑らかな舌触りが広がる。 URL:https://www.nautilusestate.com/ ■5. SWEET RIESLING 2022 ニュージーランドの北カンタベリー地方、ワイパラにあるタソックヒル・ヴィンヤードが手掛ける「スイート・リースリング 2022」は、南半球の豊かな陽光を存分に浴びて育った。 オーガニックで完全ヴィーガンのリースリングは、2つの異なる醸造方法をブレンドしている。ステンレスタンクで辛口に仕上げたワインと、樹上で完熟させた遅摘みブドウから造られた極甘口ワインを組み合わせることで、とろける甘さと爽やかな酸味が共存する個性的な白ワインに仕上がっている。 リンゴ、ネクタリン、桃といったフルーティな香りにくわえ、蜂蜜を思わせる華やかな花の香りで、アルコール度数は11.4%と比較的控えめ。自然な味わいを重視した低介入の醸造法と、瓶詰め時の最小限の亜硫酸塩添加にこだわって造られている。 URL:https://tussockhill.co.nz/
文・松村亜希 編集・岩田桂視(GQ)