“幸せってどこにある?”話題のパパ作家・外山薫さん「ママにこそ読んでほしい本」|VERY
昨年に作家デビューを果たした外山薫さんがママにこそオススメしたい本を厳選。タワマンを舞台にした著書『息が詰まるようなこの場所で』にも通じる、家族の幸せの形について考えさせられる本をご紹介。
外山薫さんが選書力をもらえる一冊、教えてください「VERYママ書店」
❝新タワマン文学!?が生まれる予感のルポは、 幸せに生きる上で大切なファクターを示してくれる❞ 小説家・外山薫さん 『あいにくあんたのためじゃない』は登場人物に皆一癖あり、悪い部分や嫌な部分も描き込まれているのがすごく良いんです。昨今、小説などフィクションですら道徳的・政治的に正しい振舞いを求められ窮屈さを感じることもありましたが、この本にはそれが一切ない。イチオシの一篇「BAKESHOP MIREY’S」は努力しないくせに一丁前に夢を語るフリーターの美怜と、彼女を応援し期待をかけ空回りするバリキャリの秀美のすれ違いが現代的で、後輩指導や子育てにも通じるなと思いました。キャリアと子育ての二兎を追わされている我々が、現実からもスマホからも逃れ息抜きできる、エンタメとして非常に痛快な短編集です。『ルポ 超高級老人ホーム』、これはネオ・タワマン文学の可能性を感じます。いい大学を出ていい会社に入り35年ローンでタワマンを買う、タワマンとは人生の通信簿なのだと言ってきましたが、3億円払った超高級老人ホームですら高層階や理事会の人間が偉そうにしている。トップクラスの富豪ですら、結局そういう価値観から逃れられないのかと諦観します。結局幸せになるためにはコミュニケーションや周囲の人間との継続的な関係性が大事なファクターで、お金だけあってもダメなんだなと実感しました。『あなたの言葉を』は小学校高学年になったお子さんの本棚に忍び込ませてほしい一冊。新型コロナ禍で子どもたちが学校に行けず「大変だ」と皆いうけど、本当に悲しまないといけないのか。本当はホッとしている人もいるでしょう、というくだりが印象的。辻村さんが常に一人の人として子どもに語りかけていて、自分も子どもの頃にこういう言葉が欲しかったなと感動した一冊です。