その「努力」の仕方はあなたをむしろ成功から遠ざけているかも…中野信子が考える<運のいい人になるための絶対条件>とは
◆生まれつきの個性 この分解の度合いが低いタイプの女性の脳は、幸福を感じやすい脳といわれ、生まれつき幸福感が高いとされています。なかでもとくに低いタイプの人は、幸福感が高いと同時に、援助交際のような反社会的行動をとりやすいともいわれています。 幸福感が高いのに反社会的行動を起こしやすいというのは、一見矛盾しているように感じるかもしれません。モノアミン酸化酵素の分解の度合いが低いということは、セロトニンの分泌量が多いということ。セロトニンが多いと安心感、安定感を抱けるため、その反対である不安感がないのです。不安感は先を見通す力、将来を考える力があるからこそ芽生えます。 逆にいうと、先のことを考えていないからこそ不安感ももたない。つまり、セロトニンの分泌量が多すぎると、先のことを考えないから、「いまがよければいい」といったような反社会的行動をとりやすくなるのです。 また男性の場合は、モノアミン酸化酵素の分解の度合いが低いと攻撃的なタイプになるといわれています。 たとえばこのように、私たちの脳は、自分では如何(いかん)ともしがたい生まれつきの個性をもっているのです。 この個性は、「私は先のことをあまり考えないタイプだ。だからあえて一日一回は真剣に考えるようにしよう」などと、自分の脳の特徴を自覚することで、その特性の発揮をある程度抑えることはできます。しかし脳の個性をガラリと変えることはできません。
◆運のいい人はいまの自分を生かす つまり、私たちは「運のいい人になりたい」と願って自分を変える努力をしがちですが、そもそも自分を変えるというのは至難の業で、そうたやすくできることではないのです。 そこで、少し視点を変えて「いまの自分を最大限に生かす」ことを考えてみましょう。いまの自分を変えようとするのではなく、いまの自分を生かすのです。 たとえば幸福感が高く、反社会的な行動をとりがちなタイプの人は、裏返せば「怖いもの知らず」といえます。怖いもの知らずの性格は、営業や大きな金融取引などの仕事に生かせるかもしれません。あるいは、不安感を抱きがちな人に前向きな言葉をかけてあげることもできるでしょう。 攻撃的なタイプの人は、弁護士など舌戦を必要とする職業で実力を発揮するかもしれないし、組織の中では渉外などの立場で活躍できる可能性があります。
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