日本製鉄、USスチールに13億ドル以上の追加投資 買収反対のUSWにアピール
日本製鉄は29日、買収を目指している米国のUSスチールの高炉に合計13億㌦(約1885億円)以上を追加投資する計画を発表した。高炉一貫製鉄所のモンバレー製鉄所、ゲイリー製鉄所にそれぞれ追加投資して鋼材を安定生産する体制を整える。全米鉄鋼労働組合(USW)が日鉄のUSスチール買収に反対しているため、継続的に投資する姿勢を打ち出して買収に対する理解を得る狙い。 USスチールはUSWとの労働協約で、2026年までに生産設備などに計14億㌦(約2030億円)を投資することで合意している。今回、日鉄の買収後の27年以降、大規模な投資を継続する計画を策定した。 モンバレー製鉄所は日鉄の買収後、少なくとも10億㌦(約1450億円)を投資して熱延設備を更新・新設し、自動車向けなどの高級鋼の供給能力を引き上げ、競争力強化を図る。また、ゲイリー製鉄所には3億㌦(約435億円)投資して第14高炉を改修、設備の稼働期間を20年程度延ばす。自動車用鋼板を安定供給する体制を整える。 日鉄の森高弘副社長は「今回公表した投資はUSスチールの高炉一貫製鉄所の競争力、環境面での持続可能性の向上に貢献する」とコメントしている。 日鉄はUSスチールの経営陣や株主から買収の合意を得ているものの、USWが反対し、米当局の承認も得ていない。このため、当初9月に予定していた買収完了時期が24年下期にずれ込んでいる。