シリアの戦闘再激化、国連総長が停止呼び掛け
【AFP=時事】国連(UN)のアントニオ・グテレス事務総長は2日、シリアにおける暴力の激化に「驚愕(きょうがく)させられる」と語り、戦闘の即時停止を呼び掛けた。ステファン・ドゥジャリク事務総長報道官が、グテレス氏のコメントを伝えた。 【写真】シリア大統領の肖像画を引き裂く反政府勢力の戦闘員 グテレス氏は「すべての当事者は、敵対行為から逃れる民間人に安全な通行を許可することを含め、民間人と民間施設を保護するために最善を尽くさなければならない」と強調。「シリア人は14年近くも紛争に耐えてきた。彼らにはさらなる流血ではなく、平和な未来をもたらす政治的な展望が必要だ」と述べた。 2011年にバッシャール・アサド大統領が民主化を求める抗議運動を弾圧して以来、シリアは内戦状態にある。外国勢力やジハーディスト(イスラム聖戦主義者)が入り乱れて戦闘が続き、50万人が死亡したと推定されている。 最近では戦闘はほぼ休止状態にあり、アサド政権が国土の大部分を再び掌握していたが、先週、イスラム武装組織が主導する反政府勢力の連合体が攻勢を開始。シリア軍とその同盟国であるロシアは、反政府勢力の支配地域に対する空爆で応戦している。 英国に拠点を置くNGO「シリア人権監視団」によると、今回の戦闘により、少なくとも72人の民間人を含む457人以上が死亡した。 2日の国連人道問題調整事務所(OCHA)の報告によれば、11月30日時点で、北西部イドリブ県およびその東隣のアレッポ県北部で4万8500人以上が避難民となっており、その半数以上を子どもが占めている。OCHAは、状況は極めて流動的だとしている。【翻訳編集】 AFPBB News